選考員コメント・1次選考
「テレビゲーム世代には、とにかく読んで欲しい作品。ハマる人は偏るかもしれないけど、それでも推薦したくなる鋭いパワーがあります。」
「30代男性、悶絶必至の思春期&90年代ゲームコミック。懐かしの格ゲーあるあるネタがふんだんに盛り込まれ、スト2にハマりまくった世代なら思わずにやけてしまいます。しかし、この作品の魅力はそこだけにあらず。ゲームをやった事がない読者向けにも、きちんとラブコメとして読ませられるだけのエネルギーも持っています。」
「主人公が末期ゲーム脳で面白すぎる!ガイルが話しかけてくる部分にもう爆笑。大野とハルオの友情を越えた関係が熱いです。」
「ファミコン世代にはたまらないマンガじゃないでしょうか。当時の家柄の良い家庭で育った子供はゲームのハードを持てないという所(バカになるから親が怒る)や等、当時のあるある話を背景にアナログ感満載のところが、この漫画にやられたところ。しかも、まさかのラブコメ。奥深い感情表現はさすが押切蓮介。胸の奥の深い所からグッと掴まれました。」
「登場人物の微妙で強烈な関係に引き込まれ。」
「なんだか知らないけど、心地よく心が抉られる作品。」
「おっさんホイホイ。それはそうと、作者の表情描写がたまらない。」
「ゲームセンターで小銭を筐体に積んでいた思い出のある方には是非読んでいただきたい作品。恋愛よりもゲームのことしか頭にない男子が、いつしか恋に気付いていく過程の描き方は秀逸。恋を後押しするゲーム上のキャラクター達の台詞回しが、とにかく懐かしい。90年代のゲームセンターにタイムスリップした感覚を得られる、かつてのゲーマーにとっては興奮の一作である。」
「サエない男子がカワイイ子にモテちゃうというおきまりの骨格ながら、1990年代のゲーム発展史を絡めて読者を惹き付け、一切無言の暴力お嬢さまという個性的なヒロインのジワジワした変化で楽しませる。さらに3巻では主人公がめざめ成長し、そして挫折...? なんと、ビルドゥングスロマンだったのか?!」
「掘り下げるポイントがかなりマニアックなのに、甘酸っぱい気持ちになる不思議なバランス。」
「マンガは時代をうつす鏡、と誰かが言ってたような気がしますが、僕らが目をキラキラさせてゲームを追っていた時代のドキドキが、このマンガにそのまま詰まっています。それなのにしっかりラブコメしてるのもまたすごい。」
「あのオドロオドロギャグでおなじみの押切先生が満を持して世に放ったアーケードゲームラブコメ青春マンガ。これ、正直いって歴史に残るくらいの超名作の予感しかしないんですけど。古きよきアーケード筐体の懐かしさに悶絶し、ゲームを介してのみ交流する男子と女子にやきもきし。とにもかくにもラブコメパートが秀逸すぎ。なんなのさこの不器用な青少年たち。コマンド入力に長けていくたびに大人の階段をのぼっていく彼らの成長もこの作品の必見ポイント。とにかく2012年は押切先生にしてやられた感満載の年です。とても個人的に。」
「どんぴしゃな世代は、共感が持てる!」
「僕らの少年の頃は、まさにこの世界だった。ストリートファイターIIが出て、順番待ち。50円で2ゲーム出来るゲームセンターに自転車で遠征していくその姿はあの頃の自分を思い出させてくれる。アーケードでしか出来なかったあのゲームが、家庭でできた時の喜びやゲーム大会に胸を踊らせる姿。ライバルである大野さんのゲームの強さと恵まれた環境である子供なのに寂しさを感じさせる。また、この大野さんがどんな声をしているのかが非常に気になります!頭突きの愛情表現は素晴らしいです。そして、主人公ハルオのお母さんは忍者なのか、妖怪なのか。」
「とにかくまず1巻を!!!まず1巻を読んでください!!」
選考員コメント・2次選考
「世代がドンピシャということもあるけれど、古き良き格ゲー時代の見事な描写。懐かしさがこみ上げてくる。そして、その格ゲーにちょっとした恋愛も加えてあるので面白さ倍増!格ゲーというと男子イメージがあるかもだけど、恋愛もあるから女子も読めるよ!そして読めば読むほど可愛く思えてきてしまうこの不思議。是非試して欲しい。」
「濫作ゆえに当たり外れの激しい漫画家が、複数の持ち味を止揚することに(ついに)成功した傑作。」
「自分的上位6作品の中で、『かつての少年少女たちに』お勧めする作品としてえらんだのがこちら。『ハイスコアガール』。私の家には、ゲームはありません。ファミコンもスーファミも、セガサターンもプレステも。唯一、ビンゴで当てた携帯ゲーム機が一つあるだけです。買ったが最後、首までどっぷり浸かってしまう、重度のゲーム中毒者になってしまうのが目に見えていたからです。このハイスコアガールの舞台は、1991年。とあるゲームセンターから始まります。そう、ハイスコアガールとは、文字通り、ゲームでハイスコアをたたき出す少女のこと。ゲーセンで、少年と少女は出会います。ほとんどゲームのことは知らない私が、このマンガを選んだ理由。それは、純粋に、面白かったから。ゲームセンターで出会った、少年と少女。ボーイミーツガール。どきどきする思いと、お互いに気づかない淡い感情。中学生になって、ゆっくり動きだしたお互いの距離。せつなく、優しく、時に残酷に、物語は進んでいきます。まさか、こんな物語だとは思わなかった、というのが正直な感想です。かつて、同じ時間軸に住んでいた人たちには限りなく懐かしく。現代の少年少女にも、たぶんこれは受け入れられるんじゃないかな。・・・ああ、当時ダルシムくらいしか使ったことなかったけど(我慢できずに数回ゲーセンで遊んだ)。もう少しゲームに詳しかったら、このマンガのもう一つの面白さがもっとダイレクトに分かるのに!と。ゲーム事情に疎いこの身を始めて嘆いたことでした。」
「世代なので。共感度が凄いです。」
「当時、自分たちの年代であれば大抵、このマンガのような生活をしていた記憶がある者が多いのではないかと思う。小学生だった自分たちにとって、ゲームセンターでの100円数枚を握りしめ遊んでいた小学生から中学生の時の話。そんな少年時代に一人の猛烈にゲームの強い女の子が登場してくれます。僕らにはこんな可愛い女の子はいなかった。懐かしくもあり、当時の郷愁を思い出させてくれるこのマンガ面白いです。」
「毎年いろいろ悩むんですが、今回はハイスコアガール一択ですよ!!こんなにも新刊が出たあとに何回も何回も狂ったように読みなおすことになってしまう作品があろうとは...の心境。正統派ラブコメ漫画の王道ストーリー展開にも関わらず、そう見えないのはやはりゲーム(しかも主にアーケード)という、ある種マニア向けのマニアな素材をこれでもかと仕込んだ上に成立しているラブコメ要素だからってことなんだろうなーと。そこがまたたまらなくにくい。押切先生の手のひらの上で完全に転がされている私(や、もしかしたら他の読者さんも)。「どうせこういうの好きなんだろ〜」みたいな。大好きですよ!!!どうせ!!もっともっと転がされることを心の底からたのしみにしております。あと、この作品から押切読者になった方々が、他の著作を読んでひっくりかえることもたのしみにしております。」
「細かいネタが80年代のゲーム事情に詳しければさらに面白いのですが、そうでない方が読んだときにどう感じるのかが気になってしまいました。」
「なつかしい!思い出はすばらしい!」
「ヤングマガジンに連載していた頃から、個人的にちょっと苦手な絵だから...という一点でこの作者の方を遠ざけていた自分はおろかものでした。今回きちんと腰を据えて読んでみて、はまりました。90年代のアーケードゲームという、全盛期でもディープな世界を舞台に、こんなにせつないストーリーを展開できるとは。記憶の深いところにある夕焼け空のようにせつない。少年マンガのカテゴリーに入る作品だと思いますが、心理描写がものすごく丁寧でリアル。キャラクターの絵姿もとても表情ゆたかで、1コマ1コマをいつくしんで読みたくなります。マニアックなギャグもくすりと笑える。クスッと笑わせておいて、読み手の気持ちの弱いところをグッとわしづかみにする。1巻の小学生編もかわいいけれど(ラストは号泣)、登場人物が中学生になった2巻以降のラブコメ的展開でいちだんと読者の間口を広げたのでは。主人公のゲーマー男子の設定が良い。世間的にはダメダメだけど、こんなじゆうな10代を送りたかった、こんなやつになりたかった、とつくづく思うおっさん読者はたくさんいるに違いない。もちろんわたしのことです。」
「90年代アーケードゲームにまったく思い入れがないので、この機会がなければまず読まなかったと思う。ありがとうマンガ大賞。決してうまい絵ではないのに、「この絵でなければ」と思えてくるのは、作者に「愛」があるからでしょう。第1巻のラストは何度読んでも泣ける。ヒロインが一言もしゃべらず、表情だけで「語る」表現は、まさにマンガの力。」
「いよいよ90年代が回顧される時代になったのだなあ、と感慨深くなると同時に、この時代はゲームがカルチャーの主役だったのかも...と思わせてくれる作品でした。大野さんの転校を知って、ゲームキャラたちに背中を押され、ハルオが駆け出すシーンに涙。今回一番キュンキュンした一作でした。」
「自分の中のラブコメ枠として俺物語とものすごく迷ったのですが、不思議な魅力のあるこの作品のほうにしました。もともと同作者の「ピコピコ少年」が好きだけど、レトロゲーム好きな人にしかおすすめできないかんじでした。この作品はラブコメとしてキュンキュンします。私の周りのアマノジャクな友人に勧めて反応を楽しみたい。独特な絵柄がじわじわきます。」
「「昔こんなゲーム全盛期があったなー。」と懐かしみながら、一気に読んでしまいました。ストIIで兄と100戦し100敗。怒りと共にリアルファイトを挑み101敗目。読みながらも懐かしい記憶がよみがえってきました。」
「3位以降が混戦しており、なかなか決められませんでした。なので1、2位以外で、続きが最も読みたいものを考えて3位はハイスコアガールになりました。早く4巻がよみたーーーい!!」
「サエない男子がカワイイ子にモテちゃうというおきまりの骨格ながら、1990年代のゲーム発展史を絡めて読者を惹き付け、一切無言の暴力お嬢さまという個性的なヒロインのジワジワした変化で楽しませる。さらに3巻では主人公がめざめ成長し、そして挫折...? なんと、ビルドゥングスロマンだったのか?!」
「年代のせいか?ゲーセンでゲームにはまってた子供の頃をすごく簡単に思い出せた。逆に最近のゲームの話の時は入ってけないということもなく。題材ではなくマンガとしてのおもしろさも充分ということだと思う。」
「2012年で断トツの1位。一般市民のハルオとお嬢様の大野の微妙な距離感で繰り広げられる恋愛劇に、徐々に徐々にはまっていってしましました。現在もそうかもしれないが、特に1990年代は「ゲーム=馬鹿のもと」の様な等式が大人の中で成り立っていて、現実にあった時代背景ともリンクし、懐かしさも感じながら読んでしまった。所々に出てくるガイルもツボです。」
「懐かしいゲームマンガかと思って読んだので、思い切り脳天から貫かれたような衝撃だった。なんとも切なくて、こう、く〜っ!となります。ライバル心とか恋心とか超越した相手への想い。小中時代にこんな経験はなかったけれども!」
「ゲームセンターで小銭を筐体に積んでいた思い出のある方、恋愛に無頓着な学生時代を過ごしていた方には是非読んでいただきたい作品。恋愛よりもゲームのことしか頭にない男子が、いつしか恋に気付いていく過程の描き出し方は秀逸。恋を後押しするゲーム上のキャラクター達が、とにかく懐かしい。90年代にタイムスリップした感覚を得られる、ゲーマーにとってはノスタルジー溢れる良作である。」
「待ちガイルにボッコボコにされていたあの頃が蘇りました。波動拳も昇竜拳も出せなくて、百裂張り手か百裂脚ばっかりだったなぁ。なのでハルオはもっとボコられろ。ゲーム少年の夢とロマンと妄想に溢れた作品。」
「対戦型格闘ゲーム華やか成りし頃のゲーセンが舞台というのは、もはや「おっさんホイホイ」なんだろうとこそばゆく(掲載誌も「ビッグガンガン」だし......)、「昭和も遠くなりにけり」と感慨に耽ろうとしたら、20年前でも平成なんだよ!と気付く平成25年の今日......(すみません、主人公達よりもう一回り上の世代なもんで)。そして、変化球かと思っていたら、思いの外、ド直球な上にもド直球な恋愛マンガだったので、そんなベタな恋愛をキッチリ描こうとすれば、逆にこのくらいの仕掛けがいるのかと思うと、平成25年のマンガは大変だなぁとあらためて思う。」
「30代のハートを鷲掴みにするレトロアーケードゲーム史と共に、対戦格闘と恋愛要素を合体させた組み合わせの妙が光ります。」
「小学生の僕たちにとって子供たちだけで大きな街に遊びに行くということはすなわち大きなゲーセンに行くということだった。そのくらいあの頃の僕らにとってゲーセンは世界の中心に近かった。ファミコンカセットいっぱい持ってるヤツはヒーローで、そいつの家はぼくらの世界の社交場だった。とにもかくにもゲームこそがヒエラルキーの頂点。友情も、情熱も、全部その下にぶらさがってきた。でも、ラブはなかった。ライクはあったかもしれないけど、ラブだけはなかった。ラブに目覚めた者にはもっと開けた世界が待っている。だからラブい奴らはこの世界から自ずといなくなるのだ。普通。ハルオは俺たち全員がいつか選択を迫られた、恋かゲームかという究極の二択をねじふせ、二つを同時に叶える希望を指し示す光だ。ハルオに幸あれ!」
「著者と同じく1980年前後に生まれ、青春時代をビデオゲームとともに過ごしてきた者にとって、これ程刺さるマンガは無い。まさにアラサーにとっての「三丁目の夕日」。」
「エントリー作品すべてが素晴らしかったですが、読み終わった後の読後感でこの作品に改めて決めました。1巻読み終わった後のあの余韻は忘れません。」
「なつかしい、世代には、たまらなく、なつゲーやりたくなる」
「自分の世代よりちょっと下の話なんですよねー(私は「スト1」世代)。一緒にゲームをするこんな女子が居たら良かったのになあと思わせる作品。」
「まさに時代のマンガ。ゲームを通じて交差する思い。素敵な青春物語。「ピコピコ少年」も読もう!」
「大変愛らしい。」
「最初、世代を選ぶかな?と思ったけれど、世代が違っていたりゲームを知らなくても楽しめると思われる丁寧な進行が読んでいて非常に面白い。キャラクターも、とても愛着が湧く。」