選考員コメント・1次選考
「久井先生の頭の中ってどうなっているんだろう?奇想天外、シュール、ギャグ、ロマンス、ファンタジー、、、ありとあらゆる種類の夢をいっぺんにみたような読後感。天才です。」
「すでに発売されている竜にまつわる短編集2冊に引き続き今回もとにかく「面白い」の一言。今回はショートショート作品集ということで収録話数も相当多いのに、どれも話の切り口や設定が斬新なので読んでいて全く飽きがこない。九井先生の頭の中って一体どうなってるんだろう・・・天才!」
「ショートショートがこんなにたくさんの世界を見せてくれるなんて...なんだか不思議な、それでもって何故か多幸感のあるお話しばかり。読み終わるのがもったいなくってゆっくりゆっくり読んだ作品です。また、読み終わったあとに表紙の絵の一点一点を見るともう最高です。今年出会ったマンガの中でダントツの一番です。」
「どこまでが本気でどこからがおちゃらけているのか、ほんとちっとも解らない。ちょっと著者を問い詰めたくなるほど、読んでいて楽しいんだけれど、発想と想像力は奔放で、あまりにも自由すぎて、目眩がしてくる。いいなあ、人間って。そんな気持ちになります。元気がない時に、もしくはちょっと疲れたときなんかに、適当に開いたページをつまみ食いでもするように読むのがおススメです。」
「これは二週間に一回、webサイトに一本のショートストーリーを上げていく連載だったのですが、連載中この連載が一生続いてくれたら私のマンガ人生は幸せなものだなと思いながら読んでました。なんか考えさせられることを書いておきながら、間抜けさとかおちゃめさとかでさらりと何でもなかったように飄々と話をとじる作者の憎さが好きです。いろんなキャラクターが出てくるけど、どのキャラクターとも友達になりたい!」
「星新一を彷彿とさせる、ピリッとひねりが効いたショートショートが小気味良いです。ファンタジーなんだけど凄くリアルな人物描写だったり、逆にリアル世界の話しのようでいて実はものすごくファンタジーな設定だったり。ぼんやりしている時にフッと頭に浮かんでくる瑣末な妄想を描いたような、不思議なお話しに魅了されます。とにかく沢山の話が収録されているので、どれか一つは必ずビビっとくること間違いなし!」
「短編の天才。漫画界のフレドリック・ブラウン」
「この1冊で何度も九井さんの才能におどろかされる。九井さんのテラリウムでは、魅力的なキャラクターがたくさん栽培されている。」
「まさにタイトルのように、たくさんの引き出しがあるタンスから、さまざまなテラリウム的世界が飛び出してくるかのような短編集。ファンタジーからギャグ、SFまで、次に何が出てくるかわからないビックリ箱のような一冊でした。もっともっと読みたい!」
「最高級のショートショート。特に○、△、□を食べる話。フードまんがとして大傑作。」
選考員コメント・2次選考
「多彩なイメージが詰まったカラフルな1冊。ショートストーリーを連ねるスタイルを通じて、著者のセンスが最大限に活かされている。」
「どこを切っても不思議だが、それでも日常から地続きな感じがするのは作者の観察眼と発想の妙か。「ハルタ」での新連載も、一文無しのダンジョン探索パーティーがモンスターを料理して食うという一風変わった作品。こちらもぜひ。」
「この短篇集の連載がwebで始まったのは2011年の夏頃でしたので、それから結構な年月が経ちましたがそれでも今このマンガ大賞2014で推したい作家さんです。この方の頭のなかには多岐にわたる興味による知識と発想力、心地の良いバランスのオタク的パロディ、笑いとと皮肉のセンス、あと抜群の画力で短いお話でもすぐにマンガの中へ引き込んでくれる力があると思います。この短編集の一つに「ノベルダイブ」という言葉が出てくるが、まさにこの漫画をよむと「マンガダイブ」ができて、短い話しながら一つ一つじっくり味わえ楽しめると思います。」
「「短編」よりももっと短い「ショートショート」の作品集でまとめた本作は、漫画の新しい可能性さえ感じました。この怒涛のアイデアと発想力、もっともっと読みたい!」
「今回も九井先生のひきだしの多さには驚かされるばかりで文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞も納得。どこかズレてたりすっとぼけてるけど、妙に人間味のあるキャラが作り出す独特のゆるーい雰囲気がとても好きです。中でもねずみ国とうさぎ国のお話はお気に入り。」
「印象的なページが多くて、マンガなのに大量の付箋を貼ってしまった。「恋人カタログ」みたいな情緒あふれるSFが私は好きなんだと再確認させられたし、「代理裁判」も「Bバージン」の脳内会議みたいで面白かったし、「遠き理想郷」はなんだか作者の創作過程を覗き見するような気分になった。「にゃんソロ」に収録されていた「神のみぞ知る」は1ページ追加されていてなんだかお得な気分になった。こんな短篇ばかりなのにそれぞれが味わい深い。」
「正直なところ、薦める相手を選んでしまうかもしれない。薦めたところで、もしかすると受け入れてもらえないかもしれない。...それでも。今判ってもらえなくても、何が何だか受け止めてもらえなくても、眺めてもらうだけでも、何かが伝わるなら。この作品を推す甲斐があるというものだと、悩んだ末に思ったので。私のマンガ大賞2014は、この作品です。人は、考えることができる。想像することができる。その力の、なんと楽しくも強いことだろう!見えないものも見ることができ、実在しないものまで紡ぎ出せるその力を。あなたにも、届けられたら嬉しいです。こんなマンガもあるんだよ!」
「単純に「漫画って面白いよね」と思わせてくれる作品集。バラエティに富んでいて、作品によって絵のタッチが違うのもすごい。初心者からマニアまで楽しめるバラエティギフト漫画。星新一のショートショート、藤子・F・不二夫の短編集と並べて置いて、時々開いては何編かだけ読み返したい、そんな本です。」
「一人の人間がこんなにも多彩な物語を描けるものかと感心しました。絵柄もお話の雰囲気も一話ごとに違うのがすごいんです。ほんの数ページであっという間に心が引き込まれてしまいます。(これはネタバレになってしまうのでこまかく言えないのですが)最後まで読み終えた時のちょっとした仕掛けも楽しく、また最初に戻って読み返したくなる本でした。」
「天才!天才!天才!!星新一のショートショートのように、時にシニカルに、ときにほんわか。毎度のことながら久井先生の多面性に驚かされます。」
「たった数ページの中に、壮大な物語だったり哲学だったりSFだったりギャグだったり、とあらゆる物語が描かれている事に驚きます。また、そのどれもが空想の物語なのに、どこか本当にあった話のようなリアリティさがある。九井さんの想像力と、構成力に脱帽です。さらっと描いたようなギャグ顔があったかと思えば、西洋の古書に出てくるような緻密で繊細なタッチになったりと絵柄のバラエティの豊かさにも注目です。」
「やっぱり、どうしても好き。すばらしいフード短編を内包した珠玉の短編集です。賞には1巻ものはどうしても不利なのですが、だからこそ。」
「どの短篇もアイロニカルで質が高い。バリエーションもあって作者の懐の深さが分かる。」
「第1短編集では「うまいなあ」と思ったが、第2弾で「エモーショナルなものも描く人なのか!」とぐっときて、第3弾の本作ではもう驚くことはないかと思いきや、「それ描くの?そう描くの?」と何度も新鮮に驚かされた。まだまだ驚かせてくれそうで、底知れない感じがする。」
「多彩な絵柄とシュールな作風が持ち味。ぜんぜんばらばらの作品たちですが、ところどころメタネタをいれてくるのも面白いです。ベタなんですが「恋人カタログ」みたいな話が好きです。普遍的なテーマを今風の絵柄やさっぱりした作風で特徴的に見せる。。なんとなく、歌詞のテーマにもなりそう。」
「過去2作もすばらしかったけど、今回のようなショートショートもすばらしい。絵も画力が高いため作品ごとに変化をつけるのもすごいとしかいいようがない。」
「およそこの作者に描けないものなどないのではないかとすら思わせるすまじいイマジネーションあふれる全33編。単行本が出る度にすげーすげー言い過ぎてもう書くことがねーんですよ。今回も前回のすげーを大きく塗り替えてすげーだったので満を持しての初連載も超すげーのことでしょう。存在自体がセンスオブワンダー。」
「毎度毎度、九井諒子さんのアイデアの豊富さ、奥深さには感動させていただいてます。絵も大好き。もっともっと知られてほしい漫画家さん。」
「マンガの表現ってホントにいろんな可能性があるんだなぁということが一冊で伝わるナイスな作品。」
「一つ一つの話に仕掛けと工夫が見られる秀逸な短篇集。一見、意味がわからない話にも、実はテーマが隠されていて、それが理解できた時、ちょっぴり嬉しくなったり。」
「この世界観が、とても好みです。あの翻訳機に興味津々です。」
「「僕だけがいない街」とどちらを3位に選ぶかものすごー...く迷ったのですが、もう好みでこちらにしました。絵が好き、視点が好き、多くを語らない、描きすぎないのが好き。それこそひきだしにしまっておきたい宝物みたいな小さなお話が詰まった本だなぁと思います。万人に勧めたいとは思わないけど、自分と趣味を分かち合える友人には必ず勧めたいです。」
「33編の短編で九井ワールドを見せつけた作品。着眼点と表現力で九井さんの才能を思い知ってください。そして、長編の九井作品も読んで欲しい。」