「大化の改新、白村江の戦い、中大兄皇子と大海人皇子の確執、と聞けば、古代史ファンのみならずふと歴史ロマンを感じる方もいらっしゃるでしょう。それが、荒々しい「新説」であればなおのこと。蘇我入鹿暗殺の乙巳の変(我々の頃はそんな名前はありませんでしたが)にはじまり、権謀術数渦巻く宮廷模様が展開されます。でも、あれれ、中臣鎌足がいない(読者はお分かりでしょうが...)。中大兄皇子のヒールっぷりがたまらず、憎み合いながら惹かれあう兄弟の描写がBL的なアレだったり、あの人が朝鮮半島に渡っちゃったりと、「新説」としてもやり過ぎでは、と思うところもありますが、それが勝者の歴史としてお行儀よく日本書紀に描かれたとすると、なかなか面白いです。」