選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2015ノミネート作品

『BLUE GIANT』石塚真一

  • BLUE GIANT 4 (ビッグコミックススペシャル)

  • 選考員コメント・1次選考

    「中学生から大人までぐっと熱くなれる漫画だと思います。仙台弁もグッド!」

    「やはり力のある作家さんだと思います。青さと若さと落ち着きが共存。さすが。」

    「音楽漫画で表現が非常に難しい。
    大成する作品が少ない中、この作品は作中の人間関係をうまく織り交ぜながらその世界を描き出せている。
    素晴らしい!」

    「僕はJAZZが好きである
    そんなJAZZ好きな僕の目に飛び込んできた「BLUE GIANT」と言うタイトルはある意味挑戦的なタイトルでなはいかと言う印象であった。
    そんな思いの中読んでみいたが、純粋に音楽が好きでJAZZが好きで出来上がった「BLUE GIANT」である事が伝わってきた。
    純粋に音楽好きが、好きな思いを描いたからこそ「BLUE GIANT」が描かれたのであろう。」

    「真っ直ぐで底抜けに明るい主人公が直向きに頑張る姿に心打たれます。歳を取るにつれて、小賢しくなり、そのような努力がなかなかできなくなってしまうことも多いと思うのですが、真っ直ぐ真面目に頑張るってことはやはりとても素晴らしい。とことんまで頑張って続ければ、何者かには必ずなれる。このマンガは読むたびにそう思わせてくれます。」

    「電車の中で読んでいたら、2回電車を乗り過ごしました。それくらいに夢中!
    天才ってことの説得力がスゴイと思います。」

    選考員コメント・2次選考

    「自分的には断トツでこれです。」

    「音の表現がすばらしい!
    題材である音楽と、マンガに真摯な姿勢で向き合っているのが分かる傑作!」

    「紙面から音が聴こえてくる、そんな気にさせる描き方はさすがの貫禄。「大人のオシャレな音楽」ジャズの心地よさ、味わい深さが感じられます。
    何より、主人公宮本大に関わる大人達がとてもいいです。主人公をそれぞれの距離感から育てていく感じで、ひとりひとり生き生きしてて、安心して読めます。毎巻末の、おそらくは主人公がビッグネームになってから録った風のインタビューページは必見。彼らの思い出の中にあるエピソードにグッときます。とにかく作品自体が心地いいです。」

    「この主人公ならどんな壁(理論とかスケールとかアドリブとかスウィングとか)も飛び越えて(壊して?)いきそう。トランペット好きなので、ラッパ吹きも出してください。」

    「やはりうまいです。堂々とした面白さ。
    アツいんだけど落ち着いて読むこともできるしっかりした作品。」

    「こういうマンガが読みたかった!と叫びたくなるような、とてもとても熱い作品です。紙の上から熱気や音がビンビン伝わってくるようですし、ジャズを聴くということに興味が湧いてきてしまいました。」

    「 面白くないはずがない設定のマンガがあるとしたら、これなどが真っ先に該当するだろう。東北の仙台に暮らす男子高校生が、ジャズで世界一のプレーヤーになるという設定。どうやって、どんな演奏で世界一になるのか。そもそも世界一のジャズプレーヤーとはどんな存在なのか。展開への興味、完結への期待が浮かんで仕方がない。
     実際、そんな設定を持った石塚真一の『BLUE GIANT』は無茶苦茶に面白かった。読めば、少年が成長していく過程を描いたドラマに引きずり込まれ、熱量を持って描かれるジャズのプレー場面に、音楽なんて聞こえて来ないにも関わらず、何か奏でられその渦中に放り込まれたような感覚にさせられる。流石は『岳 -みんなの山-』第1回のマンガ大賞を受賞したマンガ家だけのことはある。
     部活動ではバスケットボールをやってそれなりに活躍しながら、プロになれる訳でも大学にスポーツ推薦にいける訳でもない宮本大が、卒業を前に選んだのはテナーサックスを吹いてジャズのプレーヤーとして世界一になることだった。唐突でもなければ意外でもない。大は中学生のころに友人に連れて行かれた先で耳にしたジャズの生演奏に打ちのめされ、その音楽がいったいどんなジャンルなのかも分からないまま、ジャズだと言われてCDを聞き、自分でもジャズをやりたいと考えて、兄に頼んで結構高額なテナーサックスを買ってもらっていた。
     それを、バスケットボールに勤しんだ高校の3年間、平行するように持って歩いては、毎日毎日河川敷の鉄橋の下なり、人気の少ない土手へと行って、気の向くままに吹き鳴らしていた。理論なんて知らないし、楽譜も読めないし、吹き方なども超我流。それでも練習量だけは半端なかったようで、CDで聞いて耳から入ってきた音楽を、自分なりにどう再現するかを一所懸命にやってやっていた。音程をなぞるだけでなく、聞こえてくる音楽から漂うパッションまでも引き写そうとしていった果て、拙いながらも大は、優れたプレーヤーの音楽を、全身から放てるようにはなっていた。
     そこに運動選手としての肺活量も乗って、とてつもなく大きな音を奏でられるようになっていた大が、そのパワフルで思いの乗った演奏を大勢の大人たちに認められ、導かれていくというのが今のところのストーリー。読んで浮かぶのは、音なんてまるで聞こえて来ないマンガという表現であるにも関わらず、ページから音があふれ出し弾け出してくるということだ。
     絵の表現力とストーリーの展開力で二次元というメディアのハンディを吹き飛ばし、むしろ二次元だからこそ必要とされる想像力を喚起させて、鳴り響く大音のジャズサウンドへと読む人を引きずり込む。いずれとてつもない名いプレーヤーになっていく大だけれど、そこへと辿り着くまでにあとどれくらいのページを重ねるのだろう。その間にどれだけの"名演奏"を読ませてくれるのだろう。楽しみで仕方がない。
     ジャズに関する知識も吸収できそる点も嬉しいし、ひとつのことに打ち込んで、徹底的に追及していくことで突破していく姿に触れられるのも楽しみどころ。何をやっても自分はだめだと思いがちな昨今だけれど、大だって最初は音楽の知識があった訳ではない。3年間のひたすらな練習があって、そして強い肉体があって、誰よりも深いジャズへの思いがあった。それが腕前を上げさせ、理論を学ぶ機会を与えて一流からさらに上へと続く道を駆け上がらせた。
     思いだけなら誰だって抱ける。それを持続させさえすれば、何かしら道は開ける。そう信じたくなるストーリーが、『岳』にも増した感動と驚きを、読む人たちに与えてくれるだろうことは確実。だから読むしかない、"BLUE GIANT"が誕生する、その瞬間まで。」

    「『岳』の時も思いましたが主人公から元気をもらえるマンガはいいな-、と改めて思いました。主人公がやりたい事に対して真摯に向き合うその姿勢と姿はもっとオレもがんばろ!って思っちゃいますもんね。なにより、めんどくさがりな僕がジャズに興味をもってYOUTUBEで検索させたその熱量はすごい!またコミック巻末のボーナストラックがこのマンガの良さをさらに引き出していてそこもすばらしい!ナイスアイデア!」

    「天才であっても努力が葛藤の末に自分の目指すものに近づけるストーリーに感動する。主人公のこれからが楽しみな作品。」

    「ジャズの音に込められた情熱や熱さを文字で表現するのはものすごく難しいであろうに、気付いたらその文字と画で涙を流していました。
    エネルギーがあふれてくる作品です。この漫画の持つパワー・躍動感がたまらない!感動!!!
    1位にするかとても悩みましたが、これからがさらに楽しみだし
    来年もかなりの確率で大賞に期待させていただきます!!」

    「「紙から音は出ない」って、1巻の巻末のおまけ漫画で描かれているんですけど、そんなことはない、私にはサックスの音がこれでもかとばかりにきこえてきましたよ。全くジャズにくわしくもなんともないんですけど、石塚先生の作品にでてくる人たちの、桁違いなレベルの「魂の熱さ」にあてられてしまって、なんだか自分も楽器が弾きたくなるような、なにかがんばらなくっちゃいけないような、そんな気持ちにさせられる作品なんですよねー。」

    「一人のジャズプレイヤー、ヒーローの物語。毎回読み終わった後にアツくさせられます。そして周囲の人間が優しさがまた嬉しいです。変な話ですが、成功していると思われている描写のおかげで、ドキドキ感がいい意味でないです。一方でどう成功していくんだろう、というドキドキ感がいい意味であります。
    普段の生活でストレスにさらされているいま、矛盾した言い方ですが、こうして成功者の、ヒーローの物語はある意味平穏に、安心して、その波乱万丈なドラマにのめりこめることが出来るので、娯楽作品として素直に楽しんでいます。」

    「前戯もなく突然に始まり、荒ぶる音の奔流に飲み込まれ流される快感というか。ポピュラー音楽を扱ったマンガは主人公が音楽を始めるまでのところにもう少し時間(ページ)を割くケースが多いように思うのだけれど、この作品はもう、主人公の性格描写とか人生を決める音との邂逅とかうまくなる過程とか、そういう物語の説明的な要素はぜんぶすっ飛ばして、気がつけば延々ライブというか、もう無限のアドリブパートが展開し続けているという怒濤ぶりが素晴らしい。これがジャズ的エクスタシーというものなのでしょうか。主人公の迷わなさ加減といったら、ストーリーマンガの常道(?)をあえて踏み外してしまえという作者の強い意志を感じたりもする。ロックとは違う、屈折を突き抜けたところにある屈折のなさ、フィジカルな音楽愛を描く、勢いのいい音楽まんが。それでいて、音楽の黒木おばちゃん先生との学園祭の共演(3巻)をはじめ、周囲の大人たちとの音楽を通じた交流のエピソードを積み重ねることで、若い主人公の才能を浮き彫りにさせるという、これは熟練のストーリーテリングの技にいちいちぐいと引き込まれるんだ、これが。」

    「圧倒的にリアル。
    主人公が現実に存在しない人物だなんて思えない!」

    「ミュージシャンのマネージャーをやっていますが、彼らの努力を間近で見ていると、表現者としての才能はもちろん、努力の才能も必要なことに気付かされます。
    芸術家ってきっと皆そうなんですよね。」

    「一つのことに没頭する姿にいつの間にか自分もサックスをはじめたような感覚に。」

    「数多くある楽器演奏モノの中でもダントツに面白かった。昔、自分自身が扱っていた楽器とカブったってのが大きいのだが、なんだろう、この楽器が奏でる音楽そのものに対する熱が伝わってくる感じ。非常に好きだ。」

    「熱があるマンガはやっぱりいい!主人公の「いい人」感が、わざとらしくないのがいい。「持つ者」が「持たざる者」を置きざりにして(闘って勝つとかではなくて、闘う前から圧倒的に決まっていること)どんどん階段を駆け上がっていくのは、残酷で、でもぞくぞくするほど気持ちがいい。」

    「ジャズというなじみのないジャンルでしたが、非常に面白かったです。
    音をどのように表現するのかが難しかったと思いますが、ジャズが聞きたい!と思わせてくれるほどうまく表現されていてハマりました。
    幅広い年齢層にオススメできる面白い漫画でした!」

    「これを読んで、その後TSUTAYAでジャズのCDを借りました。読者の1行動を変えてしまう、しかも小学生じゃなくて妙齢の女性の1行動を変えてしまうマンガという時点で、やっぱり尋常じゃない。
    何がすごいかというと、もちろん絵なので、音は聞こえないわけで、文字と絵を見て、その音の熱量を想像しなければならないのですが、ぐっと胸に迫るものがあります。ただまっすぐな主人公が、自分のしたかったけどできなかった生き方をしている気がして、力と勇気を与えられます。
    また、新しい音楽への興味の扉を開いてくれるという点でも、とても影響力のある作品だと思いました。」

    「これからの展開に期待しています!」

    「ジャズという世界はあまり詳しくないが、この作品を読むと熱い音楽の世界だなという情熱を感じます。トランペットを河原で吹くという今はまったく見なくなった姿ですが、その姿にはかっこよく見える何かを感じます。作中でてくる登場人物が、主人公の事を語るシーンが度々でてきますが、これがどのようなつながりを持つのか楽しみです。」

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