「インターネット上で公開された、ロリータファッションを趣味とする30代女性の読み切りが話題となり、「20代後半の派遣社員をしているコスプレイヤーの漫画」として連載が始まった作品。その題材で注目を集めることが多い気がしますが、完結まで読んでみて「どうしても離れることが出来ない趣味」「呪いにも似た好き」を描きぬいた作品だな、と感じました。
「好き」に呪われた人ほど響く作品ではと思います。」
「個人的にコスプレ趣味はないのですが、知り合いに好きな人はいます。本作は「人はなぜコスプレをするのか」という物語。コスプレ文化は1970年代末から始まった、あるいは認知されたらしいですが、一貫して「女性主導」の文化と言えます。その理由も少しわかった気がしました。
びっくりするくらい話が重いです。家族の無理解、レイヤー同士の確執、傷だらけになりながら「好きなものは捨てられない」と叫び続ける主人公......。レイヤーと鑑賞者との間に発生する、キャラを媒介とした「共同幻想」がコスプレの楽しさ。その素材は自らの肉体だから、女優やスポーツ選手に似て、必ず「年齢的限界」に突き当たる。その残酷さを、これほど容赦なく描いた作品を知りません。
一方、ラストには不満もあります。これまで突き詰めてきたテーマが台無しじゃないか? でも主人公には笑顔になってほしいし、難しいところです。そういう話を、ぜひ読んだ人としたくなる作品です。」