「いきなり見えない境界線が敷かれ、町から移動できなくなってしまった花井沢町のひとびと。他の町に暮らす人々と同じように楽しいこともあるけれど、絶望的なこともある。そういう町に暮らす人々のオムニバス怪作、最終巻。最後の一人になった少女「希(のぞみ)」の物語で、本作は幕を閉じた。自分の出生についての真実を知ったときも、家族が亡くなったときも、希は平気そうにふるまっていた。そういう彼女が最後に本音を、自分の希望を(のぞみを)口にするところと、その後の展開が鮮烈でとてもよかった。つらい!すき!最近のヤマシタさんは「WHITE NOTE PAD」にせよ、ぐいぐい人の心をえぐってくるので、もしかしたら以前よりも好き嫌いが分かれるのかもしれないが、私はとても好き。」
「ほのぼのしたSFかと思いきや突如訪れるディストピア感!楽しいことも苦しいこともただただ受け止めていく住民に人間の逞しさを感じます。」
「ある集落が目に見えない壁で隔離されてしまったら、その後どうなる? 食料は? 医療は? お気楽な回もあれば、これでもかってくらいシリアスなときもあって、雑誌連載の時から毎回楽しみで仕方なかった。3巻といわずもっと読みんでいたかった。スティーブン・キングにも『アンダー・ザ・ドーム』っていう同じような設定の小説があるけれど、それぞれ心に迫ってくるものはぜんぜん違う。それはスティーブン・キングとヤマシタトモコの作家性の違い? それとも日米の文化の違い? そんなことで長時間話していられそうな奥行きのある作品でもある。」