「夏の尾道を舞台に描かれる生と性と青春の物語。主人公の男子高校生たすくくんが密かに想いを寄せるのは、男子バレーボールの椿くん。とあるきっかけで、自分の性志向がクラスメイトに知られたのでは、と怯え、自殺を考える彼の前に「誰かさん」と呼ばれる謎めいた女性が現れて...。画面構成のマンガ的な楽しさだけでなく、時折挟み込まれる装飾的なイラストが、見た目も美しく、読み方にリズムを与えてくれます。また、心理描写もケレン味が利いていて、登場人物の心情を不足なく伝えてくれます。片想いってこんな感じだったな、と誰もがきっと間違いなく共感します。連載開始は、セクシュアルマイノリティの諸問題に大きな注目が集まった2015年。今こそ多くの人に読まれて欲しいし、また読まれ得るだけの力を持った作品だと思います。」