「登場するキャラクターの魅力と、キャラクターに沿った丁寧で意外にも細やかなお話作り、そして絶妙すぎるギャグシーンのコンボが素晴らしいです。言葉少なで凶悪顏の主人公・紺田照の表情筋は毎回ピクリとも動かないのに、彼の人となりを知るにつれ、だんだん表情豊かに見えてくるのがとても不思議。これまでのグルメ漫画には見られなかった斬新さで、純粋に驚きました。単なる「グルメ漫画」として括ってしまうには、勿体無い漫画だと感じます。もちろん、ちゃんとグルメ漫画としての「料理が美味しそうに描かれている」「レシピに工夫がある」などと言った部分も十二分にクリア。本当に真似したいと思える料理の美味しそうさに、毎回お腹を鳴らしてしまう!馬田先生のネーミングセンスも意外な見どころです。紺田照("こんだて")を始めとする登場人物はもちろんのこと、組の名前や街角の店名、調味料などの商品名に至るまで、ありとあらゆるヤクザっぽいネーミングの物体がちりばめられており、不意打ちで笑わせてきます。人生における本当の幸せ、生きることの喜びとは何か......合間にチラつくヒューマンドラマが良いアクセントとなり、紺田照の作る料理を通して、ついついそんなことまで考えてしまいます。飽きることの無い、味わい深さのある漫画です。」