「怪我のため野球を諦めた少年が高校では生徒会活動に勤しむ!現実には、熱血、スポ根とかではない高校生の方が多いと思うんだけど、そんな大部分の高校生にぜひ読んでもらいたい作品です。」
「ビッグコミックスピリッツで2014年から連載中という本作は、たしかにスピリッツ的というか小学館的な、どこかなつかしい雰囲気を帯びている。高校の生徒会という「文化系」の、つまり比較的地味なコミュニティーを舞台に、ほのぼのとした画風もあって、のんびりした雰囲気でお話は進む。けれど、ただまったり日常系というわけではもちろんなく、そこかしこにヒリヒリとした、15歳から18歳のリアリティーが丁寧に仕込まれている。仲間への親愛の感情が、友に抱く連帯の気持ちがにじむ。つまりは王道の青春ものの系譜に連なるまっすぐでまぶしい世界がそこにある。少なくともかつては10代だった(こともある)わたしのような上の世代、スピリッツを読むような世代にはそう感じさせる要素がある。オールドスタイルには見えるけれど、古くさくはない。良質な、という形容がマンガの場合はほめことばになるのか分からないけれど、たしかに良質なマンガだと思う。手描きっぽい描線もマンガらしくて好ましい。ここが面白いのだとか、ここが見せ場なのだとかはなかなかうまく説明できないけれど、なんとも魅力的なマンガ。」