選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018大賞作品

『BEASTARS』板垣巴留

  • BEASTARS 6 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 選考員コメント・1次選考

    「少年誌は刊行スピードが早い。この漫画も、マンガ大賞の「既刊8巻まで」の対象条件を満たせるのは今回のみになるはずなので、全力で推したい。理性は本能にまさるのか?それとも逆なのか?という普遍的なテーマに、学園モノならではの強烈なエンタメ性は、まさに今年一番「人に勧めたくなる」作品でした。板垣先生はお若いのに、同世代のマンガのいずれにも似ていない、圧倒的なオリジナルを感じます。」

    「「動物版人間讃歌」の惹句に「なんじゃそりゃ!」とツッコむも、読めば納得してしまう。肉食獣と草食獣が共存する世界で、平和な学園生活を送りつつも、水面下では食う側と食われる側であることを意識する両者。あの娘が気になるのは異性としてなのか食肉としてなのか。カウンセリングの先生が肉食もするパンダというのが面白い。」

    「こういう読みは正しくないかもしれないが、一種のSFとして読んでいます。「ジャングル大帝」で、人間社会を知ったレオが、動物たちを"文明化"しようと頑張るくだりがありますが、レゴシたちはレオの末裔ではないかと勝手に思ってます。種族を超える言葉を得て、人間のようにパンツをはいた動物たち。しかし内なる「本能」は完全には飼い慣らせず、一皮むけば世界は暴力に満ちている。主人公を「食われる側」の草食動物にせず、「食う側」のハイイロオオカミにしたことがすばらしく、「ズートピア」に設定がちょっと似てるのだが、この点だけでディスニーをはるかにしのぐと思う。24年組的な感性を思わせるところもあって、もうこの作品については、一晩だってしゃべり続けられます。」

    「本屋でさいしょこの本を見かけた時、まさか週刊少年誌のコミックスだとは思いませんでした。獣の擬人化といえばディズニーだ手塚治虫だと真っ先に連想されてしまうものですが(しかも割と直近で『ズートピア』とかやってましたし)、読んでみれば、「ある意味これほど少年マンガ誌に相応しい作品はなかろう」という感動しかない、素晴らしい作品でした。生物としての性能はあまり差のない私たちの世間でも容姿や生活環境でヒエラルキーや断絶はどうしたって生まれます。そんな不平等を極端に表したのが『BEASTARS』の世界だと思っていて、生きものとしての強弱や性格が種々のケモノに戯画化されたことでコミカルかつ残酷にその不平等がわかりやすく描かれています。どうしようもなく不平等な世界を、自分とどう折り合いをつけていくのか。そんなことはまさに少年少女が向き合っていく最重要事項です。だから、このマンガは週刊少年誌にこそ載っているべきお話だと思うのです。ECHOESの歌じゃありませんが、なーんか自分と価値観や境遇の似ているケモノがこのマンガのどこかにいる気がしてなりません。どこかの彼と自分を重ねながら、生臭い青春を追体験していきたい気になる作品です。」

    「他の作品にはない独特の雰囲気を持つ作品。引き込まれるストーリーも見事」

    「獣人たちが暮らす世界で繰り広げられる学園群像劇。獣人たちが自らの「獣性」を理性でもって克服しなければならない、それが絶対正義として掲げられている社会を描いているのが本当に面白い。「ジャングル大帝のレオは何を食べて生きているのか問題」に対して真向から相対した作品と言っても良い。ジャングル大帝のレオが何を食べているのかが明らかになったあとでも、レオは、レオとして光り輝くことができるのか? を問うマンガだ。 その光輝を保証するのは何なのか? を問うマンガでもあるビターな世界のなかで、未熟で、迷い、悩み、傷つき、恋する年若い子らの鮮烈なこと鮮烈なこと。週刊連載でさっさとしないと賞の候補から外れてしまうので急ぎで推す。」

    「すっごい新人現るという気持ち。面白く読んでますが、最新刊まで読んで若干一番言いたいことが分からなくなってきているような。でも本当にこれからが楽しみな作家さんです。応援してます!」

    「動物擬人化で生々しい人間関係?を表現。新鮮です!」

    「「名探偵ホームズ」から30余年、動物擬人化キャラのネクストが現れた。肉食・草食動物の設定をそのままに活かした学園もの。本能が出てしまうレゴシのナイーブな葛藤に目が離せない。殺害事件から禁断の肉体関係、はたまた次々現れる個性的な動物たち。目が離せないとはこのことだ。」

    「サスペンスあり、人間(動物?)関係の複雑さあり、学園ものの面白さありと、てんこもりの一作。わくわくしながら次のページを開き続けてました。面白い!」

    「キャラがよくつくりこまれていて、ワクワクする展開。全員動物。個人的にはウサギのハルちゃんの下着を常にチェックしています。」

    選考員コメント・2次選考

    「不覚にも、これまで全く知らなかったマンガでした。読み始めたら止まらない!動物青春群像劇。なにより世界観が素晴らしい。肉食と草食の共存する学園生活。ハイイロオオカミらしくない主人公に好印象。他の登場動物も魅力的。面白いです!」

    「どうして肉食獣と草食獣が併存しているのか?とか、このマンガの世界観がわからずに最初は苦労したけど、読み進めるうちにどんどんとキャラたちの魅力にやられました。」

    「まさに、「今」人におすすめすべき作品。サスペンス?学園青春もの?擬人化動物?いろんな要素がつめこまれているけどバランスが良くて、ぐいぐい読み進めてしまう魅力がある。本能と理性の間で揺れる肉食動物である主人公の今後、タブーを犯したのは誰なのか。気になる...気になる...。」

    「なんかすごい。すごく変な漫画なんだけどなんか納得してしまうパワー。」

    「単に人間を動物に置き換えただけでも、動物のあるあるネタで楽しませるというのでもない、ドラマを描くためのはっきりした必然性のある「擬人化された動物だけの世界」って初めて見た気がします。この、動物たちの世界ならではの歪み、苦悩、戦いをひたすら突き詰めて描くことが、人間社会に暮らす私の心をもゆさぶる普遍的な感動につながるという、素晴らしい逆説。結局のところ、この作品は凄まじく王道の青春群像劇なんですよね。そのドラマを本当に丁寧に組み立てているなって、連載当初から惚れ惚れと読んでました。それにしても主人公のレゴシ君......君は本当に真面目でいい奴だなあ。」

    「ダイバーシティが叫ばれる昨今。人がときめく瞬間は千差万別、けれども自身との「差」で興味が湧くことがときめく要因のひとつだとしたら、等しい世の中で他者との「気づき」はもしかしたら出にくいでは、と考えることもありましたが、本作を読んだ後そんなことは杞憂であると感じました。どんな時も己と己以外と常に闘い、やさしい世界を獲得していく主人公・レゴシやその他のキャラクターから巻数を重ねてもなお、目が離せない。認め合い、さまざまな感情や状況と格闘していくことこそがフラットな世界を気づくのでは、と思わせてくれたこの作品。この時代に出会えて良かったです。」

    「映画やファッションショーなど、劇場型エンターテインメントを題材にした作品が際立つ今回でしたが、中でも出色の出来がこの作品。某ディズニー映画のような設定と学園物がここまでマッチするのも驚きだし、キャラにもストーリーにも引き込まれました。」

    「多分、これが人間であれば普通の学園生活なのであろうが、ここは動物の世界。肉食動物と草食動物の性質を残したまま、人間の生活に置き換えている所が作品に引き込まれる。獰猛な性格であろう狼がおとなしく優しい。そんな彼が少し変えていく世界に、どうなるのだろうと楽しみを持たせてくれます。」

    「面白い!本能と理性との戦い動物たちの表情がとても豊かで、なんの違和感もなく物語に入った。擬人化しすぎず動物らしさは残っているのに何故色気があるんだろうか...」

    「今までにない設定で動物が人間になるだけでこんなに深いとは!と思いました。」

    「独特の世界観。レゴシくんがかわいい。肉食動物と草食動物が人間の生活をするとこういう仕組みになるっていう社会ルールがおもしろいです。」

    「動物って絵になるんだなあと、見るたびに思う。表紙のデザインも素敵。最初に起きた事件の行方も気になりつつ、その種に生まれた葛藤やそれゆえに生じた出来事は実に人間らしくて、物語としても気になる。今年推すならやっぱりこの作品、まとめて読むことを推奨します!」

    「キャラひとりひとりの生っぽさがたまりません。表と裏のようでいて似た者同士であるような、レゴシとルイのこの先が気になって仕方がありません。」

    「面白さだけなら「約束のネバーランド」の方が上。絵も巧みとは言えないし、物語の欠点も目立つ。それでも、「これまで読んだことのないマンガ」として最高点をつけたい。 動物が服を着て二足歩行するマンガなんて、「のらくろ」の時代からあるじゃないかと言われそうですが、本作の新しさは、動物の戯画化が、キャラの内面と深く結びついているところにある。例えばバンドデシネの「ブラックサッド」は絵がメチャクチャうまいけれど、そこに描かれている二足歩行の動物たちは、表面的なキャラ属性しか表現していないわけです。しかし本作は、ハイイロオオカミであること、アカシカであること、ドワーフウサギであることが、いわばキャラの〝宿命〟を決定づけていて、それがとてつもない陰影を物語に与えていると感じます。 比較するのは変かもしれないが、同じくアイデンティティーの問題を掘り下げた24年組の少女マンガと同じにおいがする。作者はディズニーに影響を受けたと語っていますが、肉食動物vs草食動物の確執というテーマだけでも「ズートピア」を超えていると思う。それに加えて、キャラの個性が一筋縄でなく、ステレオタイプがまったくいない。ヒロインのハルなんて最たるもので、この作品が「刃牙道」や「弱虫ペダル」と並んで少年チャンピオン連載というのもクラクラする。言葉だけは流行りの「多様性」というテーマを、ここまで深く描いた作品は見たことがない。ある意味、日本マンガの歴史の最先端に立つ作品です。」

    「一言で言うなら擬人化した動物たちの青春ドラマ。しかし、彼らがその種族の本能を留めたままの存在であることがややこしい。肉食動物・草食動物が微妙な距離感を保ちながら、同じ制服を着て学校に通い、寮で共同生活を営む。ハイイロオオカミはコンプレックスが強く、アカシカは誇り高く、トラは貪欲で、ウサギは多情だ。そこに描かれるのは、まるで青春学園ドラマの戯画化のようだ。いや、だからこそ、そのベタな展開もドキドキハラハラしながら読めるのだろう。恐らくそこいらの「人間ドラマ」では終わりそうにないから...。」

    「けものフレンズで感動した人も驚く、動物擬人化キャラのネクスト漫画。肉食・草食動物の設定をそのままに活かした学園、そして社会。本能が出てしまうレゴシのナイーブな葛藤に目が離せない。殺害事件から禁断の肉体関係、はたまた次々現れる個性的な動物たち。どんどん複雑でどんどん深くなっていくストーリー。文句なしの1位かと。」

    「肉食獣草食獣の中があることを除けばそう、学生時代のそれであり、あるある、そうそう、学生ってこういう価値観なんだよ。だから不思議な文化もすっとはいっていった。これは革新。自分の常識の延長にある不明が多い2つの常識を掛け合わせると、非常識もすんなりうけいれられるということ。」

    「なんで面白いと思ったのか説明するのがとても難しい・・・一つ思うのは、この作品の主人公レゴシはあまり漫画の主人公っぽくないというか、本当に普通の学生っぽい感じがします。擬人化された動物という点を除くと、何らか性格的に誇張された部分が見られない。キャラ付けのための誇張という漫画の常とう手段があまり前面に出ないところが、擬人化された動物たちの集まりというファンタジックな設定のこの作品にリアリティを与えているように思います。言い換えれば、動物たちなのにすごく人間くさい。本能と理性、異種の共存という哲学的な難しいテーマを持つ作品ですが、理屈っぽくもないし面白い。よくよく考えぬかれた世界観の作品だと思います。」

    「見たことのない雰囲気で、ハラハラしながら読みました。」

    「弱肉強食は世の理か、それとも理性で打ち克つべきものか。現実社会とシンクロさせてしまう骨太のテーマに、動物たちに感情移入せざるを得ない心理描写と少女漫画的な叙情性。ほかにない強烈なオリジナリティを感じた作品でした。2月に発売された「BEASTCOMPLEX」には、板垣先生の創作のルーツが説明されていましたが、やはりあの某世界的アニメとは関係なく、作者が幼いころから培われた世界観だったようです。文字通り、いま一番人に勧めたい漫画。」

    「知性を持った肉食動物と草食動物たちがともに暮らす世界。というものをみて思う矛盾を「社会の闇」という形で物語化しているところがすごい。それぞれの動物の性質に準じたキャラ立ちをしているのも良し。物語の良さ、描写の良さ、圧倒的に良い。この世界をどうやって回収するのか、どうやって成り立ちを読者に納得させていくのか、楽しみ。」

    「語弊を恐れずに言えば、ストーリー仕立てになった現代版『鳥獣戯画」。肉食獣と草食獣が共存する学園で、それぞれの動物の特質に投影された"人間の業"のようなものに時にクスリと、時にギクリとさせられる。主人公はどこかに肉食獣としての本能を持ちながら、その本能との付き合い方に戸惑うハイイロオオカミ。人間よりも人間くさい葛藤だらけの動物。外面に象徴されるイメージと、性格を反映する内面が乖離しているのは、人間社会で暮らす僕らがいつかの日常で見た光景だ。投票対象となる刊行巻数は6巻、最新刊は7巻と既刊の数も十分だが、読み応えは十二分。」

    「愛よ、種を超えろ!!このマンガにかかっている帯の言葉です。このマンガをとてもよく表していると思います。肉食獣と草食獣がなんとかバランスを取って共存している世界で、主人公は本能や自分の性格に悩みつつ、成長していきます。他のキャラクターもとても個性的で物語があり、全員が主人公といってもいいぐらい。いろいろな種が、一人ひとり違う個性を持ち、自分の本性と、性質の中で、もがきながら生きている。動物が主体で人間は一切出てこないのに、人間の本質をえぐってくる、特濃のヒューマンドラマ。」

    「単純に人間社会を動物に投影しただけではない奥深さが、深読みする楽しみをさらに深めてくれる。丁寧に描かれているのが伝わってきます。」

    「基本は学園ドラマです。それも結構ボンクラ男子の。時折不穏な空気も流れるけれど、ここにあるのは青春の蹉跌。おとなしくて弱気な男の子が悩み、傷つき、少しずつ強くなっていく。まあそれでも、女子のほうがしたたかでしっかりしてますが。負けずに頑張れ男の子。」

    「描かれるのは草食動物と肉食動物が共存して生きる世界。気弱な大型肉食動物、堂々と振る舞う草食動物の意外性を描くに留まらず、番狂わせの連続に引き込まれる。やたらと悩みまくる(でも、めちゃくちゃ強い)主人公はもちろん、脇を固めるキャラクター勢もとにもかくにもチャーミング。異種間のすれ違いは現実の人づきあいもほうふつとさせる。最初の謎が今後、どう解き明かされていくのかも楽しみな作品です。」

    「肉食動物と草食動物が共存した学園生活を舞台に殺人事件、恋愛、友情、部活、裏のマフィア組織、とこれでもかと中身の濃ゆ~~い展開がスピーディに描かれています!今年一番の熱さある作品だと思いました!女性作家さんだというのは、ノミネートのタイミングで知りました。意外にも感じましたが、ウサギの描写がエロくて、妙に納得(笑)」

    「今回の選考にあたって読み直してみたが、ストーリー性だけでなく、その背景となる動物のみの世界の緻密な設定に改めて感動。今後の展開も楽しみ。」

    「いま『BEASTARS』をリアルタイムで、週刊少年チャンピオン本誌で読んでいる少年たちは幸福である、と思います。動物たちが人間のように暮らしているという世界は一見とてもファンタジックで現実離れした物に見えて、そこで描かれる恋愛、格差、危険な世界への憧れ、挫折に葛藤。レゴシ達の青春は、週刊少年誌がターゲットにしている少年たちの現在の世界と大きく重なるだろうからです。思春期の人間が持っている承認欲求や動物的本能の衝動の強さ、生臭さが動物の形を取って生き生きと描かれています。これほどまでに生臭い「青春」に肉薄した少年マンガがいま他にあるでしょうか。週刊少年マンガ誌の連載作品というのもバトルものやスポーツものなど王道的な物もあれば、ディープな恋愛ものあり、本格サスペンスありと日に日に多様化してきている様に見えますが『BEASTARS』のような作品が週刊少年誌に連載されていることそのものがとても意味のあることに思えてなりません。いま青春真っ只中の少年少女たちに是非読んでほしいと思い、票を入れさせて頂きます。」

    「すごい作品が出てきたと読んでいて震えが止まりませんでした。動物版青春ヒューマンドラマとは思いもよらないところに目を向けたなぁと読む前から期待で目を輝かせていました。そして思ったとおり、むしろ想像していた以上に繊細な感情表現をしていて、動物ならではの超えられない壁、肉食と草食という部分を上手く作品にしていると感じました。夢や希望だけでなく青春時代にありがちな妬みや嫉妬、そして憧れなども人で表現するよりもずっと難しく、同じようでもあり全然違うのがこの物語を楽しむ上での重要な部分ではないでしょうか。主人公・レゴシを例えば人間に置き換えて同じような作品が生まれたか?それは否です。動物であるからこそ出てくる問題、肉食動物が草食動物を食べてしまうかもしれないという恐怖にも似た葛藤...人では表現できなかったと思います。」

    「ウサギのはるちゃんのために、二人の主人公の人生が変わっていく。とにかく設定が細かくて、様々なな展開が期待できて、驚かせてくれる。キャラクターが動物なので嫌だと考える人もいるかもしれないが、敬遠しないで、読んでみてほしいです。」

    「「ジャングル大帝のレオは何を食べて生きているのか問題」に対して真向から向きあった作品。ジャングル大帝のレオが何を食べているのかが明らかになったあとでも、レオは、レオとして光り輝くことができるのか? を問うマンガ。 その光輝を保証するのは何なのか? を問うマンガでもある。獣人たちが自らの「獣性」克服しなければならない、それが絶対の正義として掲げられている社会。肉食は肉食としての獣性を。草食は草食としての獣性を。認めつつも、克服しなければならない。そのような社会。(彼らは、どのような歴史を辿って、あるいはどのような犠牲を払って、そのような社会を築こうと決意したのだろう?)その社会があげる軋みに、年若い学生たちがぶつかる。そのコンフリクト。強烈さ、鮮烈さ、輝きが眩しい。だからこそ目が離せない。週刊連載なのでここで推しておかないと賞の候補から外れてしまうので急ぎで推す。最近、同じ世界観の短編集『BEAST COMPLEX』も出てて、そっちも良かった。ビターで。お洒落で。良い意味で日本人離れしてて。登場する獣人たちが、みんな格好良くて、妙に「リアル」なんだよな。ちっこいドワーフうさぎJKが小さいなりのスタイルの良さで奔放に服脱ぎ捨てるとことかドキッとするものね。主人公のオオカミ、レゴシくんも妙にソリッドでセクシーで、ちっとだけBLマンガ的な色気も感じる。」

    「シビアなテーマですが絵のかっこよさや説得力のあるキャラ作りでぐいぐい読める作品です。重厚なので読むのに精神力使うけど、読み応えあります。獣人っていいよね。」

    「新しいのに、古典的。動物たちが通う学校、ってある意味「のらくろ」からある最も牧歌的な発想なのに、そこに載せてきたのがひりひりするような青春群像劇。内気なハイイロオオカミが「1回寝たオスからの情けは受けないの」と嘯くドワーフウサギとの恋愛に悩みながら学園祭の準備をする、という新しさの一方で、男として暴力団に殴り込む、という古典展開にクラクラニヤニヤします。肉食獣が小動物に対して抱く暴力的な本能、というはっきり言ってまったく共感はそこにないテーマなのにぐいぐい読んでしまう、テーマも共感も、もしかしたらマンガとしてはむしろ逃げなんじゃないか、「マンガは面白けりゃそれで勝ちなんだよ!!!」とドワーフウサギとちょっと付き合ってみたくなりながら、思うのでした。」

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