選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2018ノミネート作品

『ランウェイで笑って』猪ノ谷言葉

  • ランウェイで笑って(2) (週刊少年マガジンコミックス)

  • 選考員コメント・1次選考

    「今、毎週読むことを最も楽しみにしている作品です。少年誌で向きではない(ように思える)「ファッション」を題材にしながらも、キャラクターたちの魅力にぐっと引き込まれ、心を奪われてしまいました!」

    「ファッション・モデル業界を舞台にした漫画作品は複数あるが、その中では珍しい少年漫画らしい熱い成長ストーリーで、シンプルにワクワクする」

    「恵まれた環境の中で育ち、恵まれなかった身長でも前向きにモデルという夢を追いかける少女と、恵まれない環境の中で育ち、類まれな才能を持つデザイナーの原石である少年が切磋琢磨して成長していく姿がとてもいい。所々に一枚絵が挟み込まれ、読み手を引き付ける魅力があり、画も素晴らしい。あと目力がいい。夢を追いかける少年少女に読んでほしい。」

    「モデルとファッションデザイナーを目指す、若き二人の物語がいいですね。まだこの始まり感が今後のマンガの展開を色々想像させてくれます。厳しい世界の描写がまたいいですね。」

    「王道少年漫画。これに尽きる。次から次へと事故や事件やトラブルが起こり、謎の人物が現れ、難題奇問を乗り越えて成長していく主人公。これをスポーツではなく、ファッションという世界でやっている。ファッションなんか欠片も興味がない人間が読んでもすごく面白い。すごいんじゃないだろうか。」

    「熱意と才能のある若者と、それを支える大人との関係。」

    選考員コメント・2次選考

    「才能と情熱のある若者と、お膳立てして鍛え上げる大人が上手く噛み合ってました。」

    「服飾業界をを舞台にしてますが、まぎれもなくスポ根のストーリー。なかなかうかがい知れない業界の裏側も描かれて、ストーリーを輝かせる綺麗な絵。もっと世に広まってほしいマンガです。」

    「ストーリーが主人公男女二人の目線でそれぞれ描かれているのが面白い。一人はモデルでパリコレを目指す少女。一人はファッションデザイナーを目指す少年。それぞれが逆境を超えながら、逆境を糧にしながら乗り越えて目指す一本の道。熱いものを感じました。また、大事なシーンの表情や立ち姿に惚れ惚れします。魅せる漫画でもあると感じました。今後二人の目指す先にどんな障害がありそれを乗り越えていくのか、楽しみです。」

    「やりたいことがあるならば、なにもかもふっとばして先に進んで欲しい。主人公たちにはその言葉を贈りたい。柳田さんの着てた最初のドレスがとても好きだなあ......。」

    「叶ったか、挫折したかは人それぞれですが、将来への「夢」って誰しもが思い描いていたと思います。そんな「夢」へと向かってひたすら走り続ける千雪と育人に共感しないはずがない。本当に心から応援したくなる作品です。」

    「「わたしの人生全部があの場所に行きたいって叫ぶの」、このセリフひとつからほとばしる熱量に圧倒されます。ふたりの主人公の諦めない意志に鳥肌がたつ、これぞマンガの醍醐味! 「俺とお前で世界をとろう」なんて劇画時代からある定番のストーリーを、ファッション業界を舞台にモデルとデザイナーでやる(しかも「少年マガジン」で!)ってところには「やられた!」って感じました。東京コレクションでのクライマックスでは、この物語は「夢を追いかける話」というだけでなく、まさしく「世界を変える」ものなんだって確信できます。あれほど大きな山場を序盤で見せてくれたあとに、ばっと物語世界が広がっていく感覚にもわくわくしました。家族のこと、職場のこと、業界のこと、そして将来のライバル。どのシーンもひりひりするような意志に溢れていて泣かされます。まだまだ物語は始まったばかりですが、この勢いはとにかく今読まなきゃ! って思えます。」

    「近年稀にみる、完璧な1話。まさに掴みはOK!という感じ。主人公たちの境遇や才能が過不足なく語られ、それでいて説明臭さが全くなく、ラストはこれからの活躍を期待させるワクワク感に満ちている。もちろん2話目以降も面白いのだが、とにかく1話が素晴らしい。」

    「登場人物同士のやり取りやストーリーの見せ方に作者の個性が光っている。その個性と少年漫画らしい熱いストーリーとを両立したユニークな漫画になって欲しい。」

    「毎日たしかに着ている服、なのに、その実作の裏側はまったく、まったく知らない...!それをビビッドに知ることができるお仕事マンガの王道!なのですが、それが少年マガジンに連載されている衝撃。こ、このクオリティの絵、そして読者が飲まれるような新しいファッションデザインを次々画面に乗せてくるなんて!主人公が才能があって努力家のいいやつのスポーツマンガは王道ですが、クリエイティブな主人公で才能があるのにいいやつ、逆にヒロインは無意識に人を傷つけることもあってそれにまた後悔もして異様に行動力もある、というあんまりなかったパターン。ページをめくった先に、新しいデザインか知識かキャラか、何が出てくるのかが常に楽しみ!」

    「ページを繰らせる力がすごい!毎巻あっという間に読み終えて「え、もう終わり?」と思ってしまう。エンタメとしての絶対的な強さみたいなものに惹かれた。」

    「千雪と育人の切磋琢磨感。若い子の初々しさ。お母さん目線で頑張れー!と思って読みました。実写で観ても楽しめそうなマンガでした。」

    「個人的ですみませんが、服は基本ユニクロです。 なので価格・機能性重視なのですが、ランウェイを読んで世界観は変わりました。業界をまだ深くまでは描いているわけではないと思いますが、華やかなファッションショーの裏での戦場や服飾の厳しさ大変さも垣間見つつイラストも映える作家さんですので気に行って読んでおります。」

    「物語の最後まで到達した時に、このタイトルがどれだけ活きてくるのか、それを見届けてみたいです。」

    「少年漫画だけどファッションモデル?と思いましたが面白い!あきらめない心に自分も励まされます。」

    「熱意と挫折、努力、諦めない気持ち。そういったものを正面から描こうとする強さと、優しさが嬉しい。勝手な希望だが、主人公や創られた服の魅力がもっと伝わるとさらに人に薦めやすい気もした。どういった場所に着地するのか、これからが楽しみ。」

    「主人公2人(育人と千雪)の成長を同時に追えるのが、とてつもなく気持ちが良い!それぞれの立場で感情移入がしやすいと同時に、見守る立場でもストーリーが楽しめる上に、捨て回がないのはただただ驚かされました。また、嫌味なキャラクターや無駄なキャラクターもほとんど出ることがなく、風呂敷を無駄に広げることもない展開で、専門的な知識がなくても楽しめることから、性別を問わず、幅広い年齢層を夢中にさせる作品だと感じます。主人公の設定背景を考慮すれば、もっと重苦しい見え方になってもおかしくないのですが、悲壮感や後味の悪さはなく、むしろバトルや冒険をテーマにした作品の人気回のような爽快感を感じ、何度も読み直してしまいましたし、展開が分かっていても楽しめるのがスゴいなぁと思います。」

    「158cmの小柄な少女がスーパーモデルを、そして経済的に厳しい家庭の少年がデザイナーを目指す物語です。最初、タイトルだけで勝手に少女漫画なのだと思い込んでいましたが、どうしてどうして、胸が熱くなる王道の少年漫画でした。小柄でも気の強い女の子と、実力があっても気の弱い男の子という組み合わせもよく、これから二人がどう切磋琢磨して成長していくのか楽しみです。物語はまだ始まったばかりという感じなので、これからに期待を込めて投票します!」

    「諦めても諦めきれない夢のために自分を奮い立たせ、一生かけても叶わない夢を叶えるために、一生をかける覚悟。読んでいて心が躍り、胸が熱くなります。」

    「ケレン味たっぷりな感動への演出が気持ちよく刺さってくる。たった3巻の間で主人公とヒロインの決意、記者の脱皮で2回も涙腺が緩みました。」

    「題材がとてもいいですね」

    「ファッションに興味があるので単純に面白かったです。昨今ではモデルの痩せすぎ問題などもありますが、やはりモデルの方の体型維持やウォーキングに対するプロ意識はスゴいと思いますし、デザイナーやパタンナーの方も常人にはない発想を持っていてワクワクさせられます。この作品では画力にはまだ未熟な部分を感じますが、それを補って余りある熱量を感じました。作品の先を楽しみにしています。」

    「男女問わず読めて、夢がある作品。読んでみて初めてタイトルの深い意味が分かる。」

    「高校生の少年が、卒業してすぐプロのファッションデザイナーになることと、158センチしか身長がない少女が、ファッションモデルとしてパリ・コレクションのランウェイに立つことでは、どちらがより困難なのだろう。 先に挙がるとしたら、やはり158センチの少女がパリコレのショーモデルになることか。数多くのブランドなりデザイナーがショーを開いて新作のファッションを見せようとする中で、そのフォルムを圧倒的な肢体でバイヤーに伝え、ジャーナリストに伝えるモデルには、やはり高い身長が必要だ。幾つものファッションをモデルたちが着替えていくこともあって、ひとり158センチの少女を混ぜて専用のファッションを何着もデザインする手間はかけられない。 もっとも、そんな常識がファッションモデルの世界に今なお色濃く残っているのかと思ったら、だんだんと変わり始めているらしい。ミュージシャンで音楽プロデューサーでもあるカニエ・ウェストが手掛けるファッションブランドYEEZY(イージー)のランウェイに立ったアミナ・ブルーの身長は155センチ。トップモデルから20センチから30センチは低い。それでも、コンパクトながらもメリハリの利いたボディにYEEZYのどこかハードさが残ったファッションをまとい、ランウェイから、そしてファッション誌のグラビアから強烈なパワーをその視線と共に放ってみせた。 カニエ・ウェストという本業がミュージシャンで、ファッション界では異端だったからこその起用でああり、名だたるプレタポルテによるパリ・コレクションなりミラノ・コレクションへの抜擢ではないと言えば言える。とはいえ、そうした固定観念がいつまで続くかはもう誰にも分からない。価値観が多様化する中でファッションデザイナーがあらゆる場所を舞台に、あらゆる層にとってビビッドなデザインを送りだそうとするなら、180センチを超えるモデルがまとう衣装だけでは追いつかない。 猪ノ谷言葉の『ランウェイで笑って』に登場する158センチの少女、藤戸千雪がそのスキルを発揮し、持って生まれたボディのままでパリとミラノとニューヨークのランウェイを歩くのも、そう遠い話ではないのかもしれない。 何より千雪には思いの強さがあった。ファッションブランドを運営する父親と、ファッションモデルを集めた事務所を運営し、自らもパリ・コレクションのランウェイを歩いた母親を持つ千雪は、子供の頃からショーモデルになるという夢を抱いて歩くこと、ファッションをまとうことの研鑽を重ねてきた。身長だけが伸びず、常識としてショーモデルとしては難しいと思われていたところを、自身にピッタリとあったファッションをまとうことによって大逆転に成功した。 世界の女性のすべてが180センチを超えていないのなら、160センチの女性にだってアピールするファッションはあって、それを全身で着こなしアピールするファッションモデルがいても不思議ではない。藤戸千雪という少女のストーリーからそんな道が浮かび上がる。もっとも、そのためにはアミナ・ブルーにカニエ・ウェストがいたように、藤戸千雪にも彼女の最大を引っ張り出すファッションデザイナーが必要だ。『ランウェイで笑って』ではそこに都村育人という高校生の少年が登場する。 母親が病気で入院し、3人の妹たちを学ばせ大学にも送り出したいという思いも一方に抱きつつ、本心からファッションが好きだから大学よりもその道に進みたいと思っていた育人は、同じ高校に通っていた千雪のために服を作り、それがストリートファッションのコーナーで紹介されて評判を呼んで、千雪の父親から会社へと誘われる。 高校生が大学にも専門学校にも行かないでファションデザイナーになる、というということも案外に容易いかというとプロの道は甘くなかった。やはり経験の問題があった。そして独学でしかファッションを実践していない育人にはセンスはあっても技術がなかった。これではプロの仕事は任せられない。とはいえ迷惑をかけた育人が持つ才能を気にした千雪の父親は、育人を気むずかしさはあっても良いものを作る新進気鋭のデザイナー、柳田一のところへと送り込む。 案の定、基本を知らない育人は柳田の不興を買う物の、そこにしがみつくしかない状況、しがみついてでもファッションデザイナーになりたいとう熱情、そして現場で学びながら実践して且つ期待を超えてみせる才能を見せて、柳田が出た東京コレクションのショーで起こったトラブルをしのいでもみせる。偶然だったかもしれない。藤戸社長のいたずら心もあって送り込まれた千雪がいたからこそ、発揮された火事場の馬鹿力だったのかもしれない。それでも、目の前に現れた158センチのショーモデルをランウェイに立たせて衆目を集めるファッションを仕立てる才能を、育人は見せて柳田に認められてファッションデザイナーとしての道を歩み始めた。 常識ではありえない、現実には起こりえないことだとしても、それがいつまでも真理として通用するとは限らない。現実に155センチのファッションモデルがランウェイを歩いているのだから、高校を卒業して間もない少年がファッションデザイナーとしてデビューし、人気となることだって起こりえる。そんな可能性を見せてくれるマンガであり、ファッションという世界の厳しさ、ファッションモデルという存在の表からは見えない凄さを教えてくれるマンガ、それが『ランウェイで笑って』だ。 第3巻、すさまじい才能の登場が育人をどう変えるかに興味を誘われる。とりあえずスチールモデルの道を歩みつつ、ショーモデルへの道も諦めないで模索し続ける千雪との"再会"を経た先に来る、素晴らしいファッションとファッションショーの世界が今から気になって仕方がない。」

    「ファッション業界を舞台とした王道の少年漫画。ピンチをチャンスに変えて乗り越えていく小さなモデル・千雪と駆け出しのファッションデザイナー・育人の姿に、読むたびに、元気と立ち向かう勇気を貰える。才能という意味で対極にいる2人の関係性を軸にしたしっかりとしたストーリーが、「空気を変える一瞬」の描写の美しさ・印象強さによって活かされている。モデルもデザイナーも、登場人物の「動き」が重要になることから、表現面では、得意の「静」の絵のみならず、躍動感ある「動」の絵にも磨きがかかれば、さらに読み応えが増すと思われる。才能を見出された育人だが、今後もこれまでの勢いそのままに伸びていくのか。熱く、緊張感のあるストーリー展開を期待したい。」

    「むかしむかし『モンシェリCoCo』や『ミニの女王』なんかを読んでた頃を思い出した。ごめんねオバチャンだから古い漫画しか出てこないのよ。でも主人公がファッションデザイナーを目指して「戦う」漫画は、最近見ていない気がする。なぜ少女漫画から生まれてこなかったのかと悔しくなるほど、少年漫画の王道を行くファッション漫画。」

▲ ページの先頭へもどる