選考員コメント・1次選考
「「倒したスライムは食えるのか?」「動く鎧はどうやって食べる?」「ドラゴンは?ゴーレムは?」等々、奇想天外の展開で楽しませてくれています。最新刊では、展開がだいぶシリアス寄りになり、「ダンジョンで出会ったモンスターを食べる!」というテーマが薄くなっているのは残念ですが、それでも大事な要素となっています。でも、シリアス方面の展開もなかなか読みごたえがあります。」
「巻を重ねるごとにダンジョン自体の謎に迫っていっているので、これからの展開が気になります。九井さんのことだから一筋縄ではいかないはず...。あと新キャラ含め、登場人物の濃さがどんどん増しているのも良いです。」
「最新刊で新展開あり。なるほど?そう続くのか!と物語が加速した。聞きかじった話ですが、もともとは読み切りで書いたものが、評判で連載になったという経緯らしいですが、それがここまで広がるとは。作者の「連載力」たるや! 短篇作品以外は、連載作なわけで、まんがは完結した作品を発表するジャンルではないという側面がありますから、それは終わりの見えないマラソンを全力疾走しながら、同時に複雑で高度な3つ星料理を作るくらいの難易度だと感じます。そして何度も書きますが、フードまんがとして最高におもしろい。冒険の仲間の珍道中を最高の画力で描いた傑作です。登場するのはゲームにありがちな 魔物を素材に、まんがで調理法を描いたメディアミックス料理。おかしなことに私達は、あらかじめ実態を持たない幻の味が一番食べたいのだ。よくよく読むと皮肉すごくも効いていて、作品に通底する批評的な目線がやみつきの味なのです。うまい!」
「妹を助けたら終わりかと思っていましたが、気になるフラグを立てて物語に深みが追加されてこの先もまだ楽しめそうな展開です。とにかく!想像上のモンスターなどを料理する場面は実際には食べられないけど美味しいそうで、お腹すいてきます。」
「衰え知らずのストーリーテラー九井諒子による、何度読んでも楽しめる、RPGの「ある視点とことん」の作品。」
「コミカルな寓話と思って読み進めていたら、ここにきてグッとシリアスな展開に振れはじめた。この予想を軽々と裏切る大胆さが九井諒子の真骨頂だろう。」
「5巻で新展開となってきましたが、相変わらずの面白さ!九井涼子先生の漫画は構成力がずば抜けているので、初の長編連載としてどう描き切るかこれからも楽しみにしています。掲載雑誌の応募者全員サービスでもらえた「手ぬぐい」のデザインがとても素敵でした~!」
選考員コメント・2次選考
「ドラクエやウイザードリィに接して以来30年、ファンタジーの世界の見方をある意味で根本から覆してくれたのがこの作品です。「モンスターを食べる」、特定の(おいしそうな)ものではなく、むしろゲテモノ(スライム、動く鎧、ゴーレム、コイン虫等)をどう料理するのかがポイントです。新しい気付きも多々あり、目が離せません。最近の急展開も見どころです。」
「モンスター料理という独創的なテーマもさることながら、この作品のキモはキャラクターにあると思います。様々な種族が登場する作品ですが、その種族間の思想や理念の違いなど、読んでいてとても妙味深い。妹を助けるのライオス一行も普段はモンスター食を巡るコメディ調なやりとりですが戦闘になるとキリッと引き締まった表情になって緊張感を与えてくれる。本当に読んでいて飽きさせません。まだまだ、もっと多くの方に知って欲しいと思う作品です。この作品を味わっていないなんて勿体ない!」
「ダンジョン潜入系は浪漫!というのもあるんですが、設定や世界観に奥行きがあって作品としての完成度が高い。話が進むほど面白くなってきました。」
「RPGやってて、終わってほしくないのとクリアしたいのと、よくわからない気持ちを思い出します。ずっと読んでいたいです。」
「そう、確かにダンジョンにはモンスターがいっぱいいて、冒険中に食料にしたら...とあり得る事なのに漫画では初めて!グルメ漫画?なのか?しかし、モンスターなのに、できあがった料理は美味しそうで...!」
「コミカルな寓話からシリアスな群像劇へ。これまで安心して楽しんでいたものが、急に足元がぐらつくような不安に襲われる。ストーリーテラー・九井諒子の本領発揮はまだまだこれからなのかもしれない。」
「このタイトルは諸刃の剣。すっと引き寄せられる人もいれば、逆に関心をなくしてしまう人も多いだろう。しかし、大人ならばこそもったいないのは「食わず嫌い」。本作品は、タイトル通りの出オチのネタと実はシリアスなストーリーがしっかり共存する稀有な一品。それを可能にするのが、著者ならではの緩急の効いたユーモアととちょっと引いたところから現実を活写するような視点による絶妙な距離感。とにかく大人にこそおすすめの一作です。」
「ショクマンの中ではすでに数年前から秀逸だったダンジョン飯。順当にいけば文句なしのグランプリなんだけど、天邪鬼な心がいやいや、ここはここは、と囁く。がやっぱり結果、選んだやっぱり1位の風格だなと。そんな理由です。」
「毎回ダンジョン飯が出てくるたびにストーリーを追うことを中座して、味のイメージを脳内で繰り広げて2度楽しむことができる稀有な作品!」
「数年前からご飯漫画がたくさん出ていて、私も好きでたくさん持っているのですが、そんな中でダンジョン飯は異色で面白かったです!RPGでお馴染みのスライムやミミックなどのモンスターが美味しそうに調理されるので、ゲーム好きな人にぜひ読んでほしいです。面白ご飯漫画かと思いきや、芯のストーリーはしっかりとありドキドキしますし衝撃的。ストーリーも気になるけど次は何を食べるかも気になる!!」
「メシ漫画の革命だと思います」
「読み始めとっつきにくさを感じたが、だんだんと世界観に慣れた。慣れたころストーリーが展開して引き込まれた。家族で楽しく読める作品。」
「安定の面白さ。始めは突拍子なさが面白かったはずなのに、今や心地よさすら感じる。人間の食の恐ろしさよ...。」
「タイミングに恵まれず大賞候補として長かった「ダンジョン飯」ですが、新展開を踏まえても既刊6冊というアニメ化のタイミングを見据えても、未だ他の追随を許さない圧倒的なクオリティ&発想であり、ジャンルを切り開いたパイオニアとして受賞すべき作品ではないかと。」
「ダンジョンの謎や冒険者たちの人間模様など、「ダンジョン×飯」のその先の展開からも目が離せません!」
「今年こそ、大賞をとって欲しい作品です。ファンタジーの世界における、謎な部分でもある食事の材料はどこからきているのかを、意表をついて描いている。時には納得、時には目をつぶりたい食材と向き合っての食事が面白い。個人的には巻末の「モンスターよもやま話」が毎回楽しみだったりする。」
「すでに大人気作品となっており、書店でもメディアでも紹介されまくってますが、やはり何度でも推したい...!5巻では、シリアス展開になってきましたが、相変わらずマルシルは残念で可愛らしく、センシはいいおっちゃん感が半端なく、料理のシーンは笑えます!九井先生の長編で、しかも謎が謎を呼ぶ展開!まだ見たことない九井ワールドに、ますます目が離せません!どう描いてくれるのか、ファンとしてこれからも楽しみです!」
「「何度読み返しても面白い!飽きのこない物語」私はそういうマンガを沢山の人に読んで欲しいと思っています。そういう理由で今回の私の1位は「ダンジョン飯」です。連載を開始してから3年以上が経過している作品にも関わらず、未だその新鮮さは失われていません。今回読み返して発見した複線や登場人物のちょっとした表情や動きが、ずっと読んでいたいと思いました。初めて読んだときのことを少しお話したいと思います。ダンジョン飯1巻が発売されたとき今までにない斬新な設定に「このマンガは絶対面白い。」という確信が発売される前からありました。というのもダンジョン飯と同じような世界観のファンタジー作品はRPGのような冒険ファンタジーものでどこかで読んだことのあるような既視感がありました。まったく同じではない作品なのに飽きてしまうのは致命的です。でもそれがなかったのです。それもそのはず、冒険しているダンジョンに現れるモンスターを調理して腹を満たし旅には欠かせないエネルギー源にするのですから。そして実際にはない料理なのに具体的な調理方法を記していて、想像するだけでお腹が鳴りそうでした。表現力、発想力、そして秀逸な物語、ノミネート作品の中で抜きん出ているかと思います。」
「1巻が発行されて既に数年。その発売当初から大反響だっただけに正直「鮮度」は落ちます。が、実力は十二分。未読の方には是非読んでいただきたい作品です。」
「安定のノミネート。マンガ大賞にノミネートされなくても続刊が出たら買ってしまう作品です。」
「ただただ面白い漫画。初めて読んだ時の衝撃未だに忘れないです。そして、未だに読み返しても楽しめる。ファンタジーの食の部分を切り取る考えに脱帽です。こういう、みんなが楽しめる漫画がもっと増えて欲しいと個人的には思っています。老若男女楽しく読める漫画です。」
「深く深く潜っていくためにあるダンジョン。ダンジョンには、モンスターがいる。戦わなければならない。しかし、腹が減っては戦はできないわけで。何を食べる?街から運んできた食料はいずれ尽きる。最も合理的に考えるなら、食べるべきはモンスター。サバイバルの極意が詰め込められた上で、あくまでポップに、しかしリアルに、ひたすら面白く描かれるファンタジー。毎年、新しい面白い漫画は出てくるけど、やっぱり投票してしまうのであった。」
「ダンジョンに生息するモンスターを美味しくいただこうマンガ。ダンジョンマスターでスクリーマーの肉食ったり、ちょっと毛色は違うがミュータント犬のグリルでRAD回復していたりする人はマストバイ、マストリードな作品。如何にモンスターを美味しくいただくか、を通じてモンスターの生態系や、ファンタジー世界の文化・文明論が垣間見える「世界観ごっこ遊びマンガ」でもあるのが面白いかな。2017年にでた5巻で冒険には一区切りがついて、これまでの、冒険をしながら淡々とモンスターを食っていくスタイルからは外れたのが良くもあり悪くもあり、今後の展開が楽しみでもあるな。」
「何度も何度も書きますが、フードまんがとして最高におもしろい。冒険の仲間の珍道中を最高の画力で描いた傑作です。ぜんぜんゲームをやらないわたしでも、これはゲームのお約束をギャグにしたり皮肉ったりしているんだな、とちゃんとわかっておもしろいってすごい構成力だと思います。ゲーム好きにはたまらないだろうなと想像にかたくない。最新刊で新展開があったのも押した理由です。まだまだ連載は続きそうなのもたのしみです。」