「親を亡くしたこどもを引き取る話、と言うとよくある話のようですが、手探りで寄り添い、日々を過ごす二人の描写がとてもすきです。心のやわらかい部分の描写のうまさがよくあらわれた作品。」
「両親を亡くした15歳の女子中学生・朝と、その子を引き取った35歳の叔母・槇生の話です。共に孤独を抱えているふうではあるものの、それを特別表に出すこともなく、淡々とした日常がリアルで心に迫ります。とくに叔母の槇生は朝を己の信念のまま勢いで引き取った格好いい大人でありながら、どこか不安定で弱い部分も垣間見え、非常に魅力的です。槇生が言っていた「乾いた寿司は殺す」には心から同意。何気ない会話に、センスが光ってます。」