「絵柄がとんでもなく好みだったので、内容をよく知らずにジャケ買いしたマンガだったのですが、可愛らしい絵と裏腹に、どこまでも寂しい物語でした。スペクトラルウィザードは、いまやその危険性からテロリストと認定され世界中から追われる立場になった「魔術師ギルド」の残党。逃げ隠れ安住の地も無く生活している彼女ですが、日々の逃亡生活から孤独が日に日に心を削っていきます。様々な術を使う魔術師たちの中にあって、スペクトラルウィザードの能力は隠密やすり抜けができる「ゴースト化」。だれにも気づかれない、孤独でなければ使いこなせない力。その能力は世界にとって有用になることが多く、魔術師ギルドの昔の仲間や、はては魔術師を追う「騎士団」からも求められます。孤独を埋めるかのように、彼女はそれに応え様々な仕事や厄介事にかかわりますが、その時に下す彼女の決断はことごとく裏目に出てしまいます。力をふるうほど一人になっていくなか、それでもスペクトラルウィザードが求めたものは何だったのか。時折小さなコマの片隅で涙を流す無愛想な彼女が、どうしようもなく健気に見え、愛しくなります。」