「人間の住む「うちつくに」と異形の者が棲む「とつくに」。人間でありながら「とつくに」に暮らす少女シーヴァと、彼女と起居を共にする異形の者(シーヴァからは「せんせ」と呼ばれる)。呪いをうつさぬよう決して触れ合うことのない二人の日常を、静謐と緊張を同時に感じさせるような独特のタッチで描き出している。 「どこか遠い国」のお話のようで、でも現実世界を眺めたときに「うちつくに」も「とつくに」も私たちの日常に実は存在していて、その中で私たちは、呪い呪われながら、生きているのではないだろうか。触れ合うことの出来ない二人の物語が胸に迫るのは、「うちつくに」と「とつくに」を抱えながら、それでも他者と触れ合いたいという願いが重なるからだと思う。」