「「すごい傑作」と言うのは簡単だが、そのすばらしさを具体的に言語化するのが極めて困難な作品。普通なら相矛盾するはずの感覚が、いくつも同時に表現されているというか......。例えば「冷たさと温かさ」。一切ムダを排して様式化された画面は極めてクールなのに、その「線」にはぬくもりが感じられること。例えば「愚かさといとおしさ」。放射能が無害化するまで25万年(!)かかる核廃棄物施設(オンカロ)を作ってしまうのも、それを最後までロボットに見届けさせるのも、人間であること。例えば「古さと新しさ」。個々のエピソードはどこかで見たような懐かしい感じなのに、読み終わった後で「こんなの見たことない」と思わせること。上下たった300ページ弱で、これだけの時間的スケールを表現し、深い余韻を残したのも見事としか言いようがない。『ラスト・ワルツ』も大傑作でしたが、本作はついにそれを超えたのではないでしょうか。」
「ダンブラウンのオリジンの様な怖さと、現状を見るとそうだなあ、きっとそうなるなと、預言者の様なマンガ。」