「共産主義者排斥、レッドパージ(という名の体制による弾圧)が吹き荒れた戦後のアメリカ映画界。そこに登場し、一ミリの遊びもなく不当な弾圧に立ち向かった映画脚本家、ドルトン・トランポを中心とした群像劇。あるものは信念に殉じたが故に破綻し、あるものはその行動に寄って報われ、逆にすべてに迎合した行動によって生き延びるものもいれば、それが仇となって転落するものもいる。圧倒的な取材に基づいて、歴史が重戦車のように迫ってくる。『ローマの休日』や『スパルタカス』の裏にはこんなドラマがあったのか、という物語を、オードリー・ヘップバーンからチャーリー・チャップリン、最新刊ではマリリン・モンローやスタンリーキューブリック、果てはケネディ大統領などのスーパースターが登場し、一つの歴史の裏にはどれだけの糸が絡み合っているのか、を驚嘆を持って読まさせれてしまう。あ、読まされてしまう、と書いたのは、ものすごい情報量が、とてつもなく整理された丁寧で、最適解はこれしかあり得ない!というページですいすい受け取れてしまうから。いまもっとも、立派なマンガ。」