選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2021一次選考作品

『Artiste』さもえど太郎

  • 「人がテーマだ。なんて陳腐すぎて言いたくないんですが、でもやっぱりこのマンガの魅力は、誰からも好かれる親しみやすい顔をして、人という対象の深いところまですさまじい掘り下げを見せてくる点じゃないでしょうか。大好きなこの物語の紹介を書くために、少しでも初めて読んだときの気持ちを確認したくて、結局全巻を読み直したのだけれど、それは友人と仲良くなった後、その人から昔語りを聞きつつ、でも今はよかったなぁって酒でも飲み交わしてるような感覚で、自分でも不思議に思うくらいにだいたいずっと涙目でした。なんだ、僕、キモ(ラブ)いな。調和してることが美しいんじゃなくて、人との違いを前提に調和しようと変わっていく姿が美しいんですね。あと美しいといえば、最新6巻の表紙イラストは、夜のパリを歩いたことがある人なら、ぎゅっと胸を締め付けられるような風景だと思う。ついで、たいへん蛇足かと思うけれど、3巻のリュカのストーリーは、人を理解しようとするためのひとつの見方を教わった、ものすごく素敵なエピソードでした。」

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