「萩尾望都が描く16世紀のフランス宮廷。ときはカトリックとプレテスタントの宗教戦争のさなか。愛憎、陰謀、罠、乱、殺戮。萩尾望都的世界の道具立てはすべて揃いました。2020年は萩尾望都先生の『王妃マルゴ』と山岸凉子先生の『レベレーション 啓示』という、ふたつのフランス史ものが完結した記念すべき年となりました。この21世紀のはじめに、この二人の大作家がフランス史の物語に惹かれたというのは、読者としてなんという幸せかと思います。オルレアンの乙女に対して、数多くの男たちと愛を交わしたマルグリット・ド・ヴァロアという、このコントラスト。『王妃マルゴ』といえば、パトリス・シェロー監督の同名の映画、その主演のイザベル・アジャーニが思いだされますが、萩尾望都の描くマルゴは、どのような女性なのか。いま読まなくていつ読む。いやこれからも読まれるに違いないだろうけど、やはりいま読んでほしい物語です。各巻の表紙を飾る美麗な貴族たちの装束にもうっとりです。」