「表紙をはじめとして、作中の『赤』がとても印象的。赤は命の色。『かしこくて勇気ある子ども』だった故に大人から攻撃されてしまった少女がいる。そんな理不尽がこの世にはある。徹底的に絵での表現にこだわる山本さんの描く、子どもを授かった夫婦の期待・不安・葛藤。印象的なセリフもたくさんありますが、その一方で、もしこの本にふきだしが無かったとしても絵だけでじゅうぶんに伝わるのではと思うくらい、人物の表情が豊か。そして前述の『赤』が、幸せな雰囲気をもたらしたり、不穏な空気を表したりと、ページによってその印象がめまぐるしく変わります。親たちは、そして生まれてくる子どもは、理不尽にどう立ち向かって生きていくのか。わたしには子どもがいないので、描かれている夫婦の気持ちを本当の意味で知ることはできないのですが、想像し、寄り添うことはできます。この本が、その気持ちを強くしてくれました。子どもの未来のために大人は何ができるのか。全ての大人に読んでほしい1冊です。」
「絵本のような雰囲気の絵だったので、ちょっとファンタジーっぽいのかと思いきや、大変リアルなおはなしでした。一歳児を育児中ですが、赤子は本当に心がまっしろで、これからどういう子供に育つかは周りの大人次第なのだと思うにつけ、この話がどーんと心に刺さり、誰もが住みよい世界になるよう努力していくことを諦めてはいけないなと思います。」