「クソゲーを愛していた主人公が、王道の神ゲーに挑む様が、泥臭く、妙に作品の世界に引き込まれていってしまいます。 クソゲーの世界でパーティを組んでいたトッププレイヤーたちが、誰もが知る神ゲーの世界で再度パーティを組み、難関クエストをクリアしていく姿も見どころです。」
「同名の小説(それも『小説家になろう』の投稿作)のコミカライズ作品。いまのマンガ業界では、続編に外伝などスピンオフ作品が当たり前になり、テレビ番組のコミカライズまでお気軽に行われてしまう。そして僕個人として、そういう作品は数ページ読んで飛ばしてしまうことが多い。どこか熱量に欠ける気がする作品が多いのだ。もっとも熱量を感じるコミカライズ作品もある。ストーリーは"クソゲー好き"な高校生が気まぐれで、VRの"神ゲー"に没入するところから始まる。原作の設定をばっちり活かした魅力的なキャラクターと躍動的で細密な画風、そしてマンガらしい物語の推進力が実に心地良い。情報量が多いのに、読み進めにくさを感じない。作中のほとんどがゲーム中の世界を描いていて、ゲーム内のキャラクター(アバター)のレベルとは関係なく、アバターを操作するプレイヤー自身が積んだ経験値でゲームの進行が変わっていくスリリングな展開は、古くは『トルネコの大冒険』『風来のシレン』といった"一発勝負"の名作ゲームに興じたことがある人ならわかるはず。原作ファンには賛否あると聞くが、マンガから入った身としては素晴らしいコミカライズで、何より原作の細密な設定を、マンガとしてコマの中に見事に表現しきっていることに喝采を送りたい。」