選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2021一次選考作品

『ダンピアのおいしい冒険』トマトスープ

  • 「まるで絵本のような絵柄の可愛さとキャラの魅力で歴史が苦手な自分でもすいすいと読めちゃいます。航海中の人間ドラマとしてはもちろん、サバイバルグルメ漫画としての側面もあって1粒で2度美味しい作品。そして圧巻なのが巻末に掲載されている参考文献の量!めちゃくちゃ研究して描いてるんだろうなーというのが一目で分かって信頼感がすごいです。」

    「『最新世界周航記』をベースにマンガを描く人が現れるとは...。加えて様々な資料・史料を用いて(巻末にしっかり参考文献として挙げられている)多面的に補い、腕っ節と度胸と賢さそして幸運がなければ自由な立ち回りができなかったであろう時代の希有なマルチタレントを、胸躍る冒険のドキドキ感を伝えるためか、はたまた時代が内包する血腥さを中和するためか、どこか懐かしい筆致で描くすごい作品です。」

    「17世紀。英国の私掠船に乗った博物学者ウィリアム・ダンピアの航海記をベースにした創作などと通常の出版社では取り合わない題材が見事にブレイク。絵柄や話の確かさに加えてSNS時代のマンガ発掘を象徴する快作。」

    「なんだかこのしあわせな読書体験、どこかで・・・と既視感を覚えて、はたと気付きました。あ、あれだ、小学校の頃、夢中になって読んだ、『マンガで読む歴史シリーズ』のめっちゃ凄いやつな感じだ!(語彙力) 17世紀に実在した探検家ウィリアム・ダンピアの冒険を描いた、このとんでもなくワクワクするお話は、ダンピアとともに世界に対する好奇心が満たされていく気持ちよさを体験しながら、海洋冒険ものとしてのさまざまな出会いと別れを含んだスペクタクルが、すっきりとデフォルメされてても、もんのすっっっごくうまい絵(やっぱり語彙力)で描かれる、僕にとって2020年いちばんの出会いマンガでした。」

    「17世紀のイギリスの私掠船に載っていた博物学者の物語?! テーマ超しびれる!!!17世紀のヨーロッパで出版されていた航海記が、2021年の日本でマンガ化されてるって、ロマンがありすぎじゃないですか!まったく知るよしもない生物の生態から、土地の風土、気候、船乗りや原住民たちの考え方までが飽きる暇無く繰り出され、超贅沢な海外旅行を楽しませてもらっているよう。なかでも、『おいしい冒険』とあるように、アホウドリからコバンザメ、ココナッツからウミガメ、果ては餓死寸前の航海中に船乗りが食べざるを得なかった虫の湧いたビスケットまで何でも食べて見せてくれるのが眼目の一つ。で、これだけの様々な要素のベースにあるのが、どこまでも軽やかで重くならない可愛い絵柄とそれを貫く思想。怪我で現地の村に取り残されることになった仲間に対して、『へぇ!いいなぁ!』と言うダンピア、すげーよ...!!作者さんは他のお仕事をされている一方でこの作品を描いていらっしゃるみたいですが、1巻から2巻にかけて物語の大きさがまたわかりはじめて、明らかに面白くなっているので、このままずーっと丁寧にマンガ化しつづけていってほしいです!」

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