「ベルリン在住の作者の日常を独特な視点で描く。隣人たちの多くは異形の姿で登場するが、それは作者自らが異邦人という立ち位置にいるからではないか。現実世界を描きながら、ちょっとトリップしたような感覚になる異色作。」
「数年前にドイツ・ベルリンに移住した作者が現地で感じたことを描いていくエッセイ漫画。日本と欧州(特にベルリン)との文化や気風の違い、物の見方などを、作者ならではのとてもやさしいフィルターを通して伝えてくれる。情報もてんこ盛りなので、これからベルリンに行かれる方などは、ぜひ一冊手元に落として、スマートフォン格納しておくといいと思うが、この本については情報トリガーよりも、共感スイッチを入れる準備をしてからページをめくりはじめたい。本書には、見知らぬ文化に触れるときの、ちょっとビクビクしながらもワクワク、ドキドキして、少しずつ現地になじんでいくあの喜びが詰まっている。そして作者のやさしさあふれながらも俯瞰されたフィルターと、描きこまれたディテール(欧州内の飛行機の値段やスーパーに置かれている商品など)は僕らにその喜びを疑似体験させてくれる。旅に出かけづらいいま、この作品をを読んでいると、あたかも自分がベルリンにいるかのような気分になってくる。読み込むと行ったこともない街なのに『ああ、そうそう。そうだよね』というあいづちを打ちたくなるほど、ベルリンが好きになってしまう。」