「山岸凉子のジャンヌ・ダルク!2020年は山岸凉子先生の『レベレーション 啓示』と萩尾望都先生の『王妃マルゴ』という、ふたつのフランス史ものが完結した記念すべき年となりました。ジャンヌ・ダルク、乙女よ行きてフランスを救え!カール・Th・ドライヤーの『裁かるるジャンヌ』以来、数々の映画で日本人のわたしたちもよく知っている、15世紀フランスの物語を山岸凉子がマンガに!という興奮から6年が経ち堂々の完結です。ロレーヌ地方の田舎町からでてきて、イギリス軍に包囲されたオルレアンを解放し、王太子をランス大聖堂でシャルル7世として即位せしめたこの「オルレアンの乙女」の物語は、この戴冠式を栄光のクライマックスとして、しかし火刑に処されるまでのみちゆきこそが物語としての核心でもあります。夢と現実とのあいだで、声と肉体とのあいだで、少女の心は信じまた迷います。戦場を駆け抜け、牢獄に繋がれ、火刑台に上げられるジャンヌ。山岸凉子の描くの世界の中で、我々もまたその歴史の証言者として立たされているような気持ちです。」