選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2022一次選考作品

『映画大好きポンポさん』杉谷庄吾【人間プラモ】

  • 「2021年に話題を呼んだアニメーション映画『映画大好きポンポさん』は杉谷 庄吾【人間プラモ】の原作漫画に描かれていた、映画にかけるクリエイターの情熱と、そしてのめり込みすぎるあまりに見せる常識を飛びこえる言動をより色濃く見せてくれて、観ている人に映画であり作品と向き合う居住まいを正させた。そんな『映画大好きポンポさん』が幾つかのスピンオフ作品と、そして正統な続編『映画大好きポンポさん2』と経て『映画大好きポンポさん3』で完結した。第1巻から主役を務めるニャカデミー賞監督、ジーン・フィニの監督業にかけるとてつもない熱量を、倍増しで浴びせられるストーリーだ。ジーンやポンポさんたちの活躍に刺激されたか、ポンポさんの祖父で名プロデューサーとして知られたペーターゼンが現場に復帰し、ジーン監督で1本新しい映画を撮り始める。その一方で、ポンポが通う学校(学生だったのだ!)の同級生にカメラマンの才能を持った少女がいて、ポンポは彼女のために1本映画を撮ろうとする。そこで起こったのは、『映画大好きポンポさん2』で繰り広げられたジーンとポンポさんとの映画監督対決よりも凄いこと。あり得ないくらいの働き方をするジーンの姿に唖然とさせられ、ニャカデミー賞俳優を含む超ベテラン俳優たちが相手でも譲らず映画のために脚本を書き直すジーンの思いに陶然とさせられること確実だ。結果、ひとりの才能に溢れたカメラマンが誕生し、ポンポさんの近くで燻っていた俳優が日の目を浴び、大舞台へと駆け上がっていく。そして思う。映画は本当に良いものだと。そしてとてつもなく怖いものだと。『映画大好きポンポさん』の好評だった映画を、平尾孝之監督がこの作品で作ったらどれだけの狂気と熱情が迸る作品になるだろう。観てみたい。」

    「子どもながらに天才映画プロデューサーであるポンポさんと『自分には映画しかない』というジーン・フィニが映画を作る漫画。全3巻。かわいい絵柄とポップな表現に彩られてテンポよく描かれるのはその実、作ることにとりつかれた不器用な男のもがきと餓え。2巻と3巻のラストはそれぞれどちらも別のベクトルでぐっと胸を掴まれました。」

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