選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2022一次選考作品

『九龍ジェネリックロマンス』眉月じゅん

  • 「繊細なタッチから描かれる各キャラクターの心理描写や間の取り方などが独特で卓越している。前作にあたる『恋は雨上がりのように』から引き続き恋愛ものではあるが大人の恋愛感や、恋愛漫画でミステリーなところに惹かれるものがある。」

    「この土地に、この世界に、私もずっと恋してる。もっともっと九龍が見たくなる。」

    「まだまだ物語の全容が見えてこない中で、それでも九龍の街並みや登場人物たちの表情、各々の想いに惹きつけられてこの物語から目を離すことができない。きっと自分も本作の九龍の街並みに恋をしているのだろう。行き先がわからない九龍での暮らしを、是非手にとって味わって欲しい。」

    「九龍城あるいはあらかじめ失われたものたちをめぐるラブロマンス。眉月じゅん描くところの登場人物たちの魅力に加えて、舞台となるどこかノスタルジックな風景の描写が良い。この世のどこにもありはしないはずの、一瞬の風景をコマで切り取るのがうますぎる。このマンガの魅力を端的にあらわしているので何度でも繰り返すが、ヒロインがちょっと一筋縄でいかない人物だぞと知らしめるために、タバコを吸いながらスイカを喰う女だと描写するのは本当に卑怯。」

    「主人公・鯨井令子を中心にだんだん謎が広がっていく展開にSF的な面白さを感じます。令子がクローンかどうかというところから、舞台である九龍自体が創り物なのではないかというところまでいつの間にか視点が広がってきており、結末が読めない楽しさがあります。」

▲ ページの先頭へもどる