「いったいどうなってるんだこの国は!21世紀の日本で、19世紀フランスの天才画家ジェリコーの物語が読めるなんて!と同じようなセリフを去年も、今年も、ここでも、よそでも書きつけているような気がしますが、しかしこれも推すしかない。今年、推さずに、いつ推すのか。だって一巻完結だから。ドラクロワの《民衆を率いる自由の女神》は日本でも中学校とかの教科書に載ったりして有名ですが、そのドラクロワの偉大なる先輩。テオドール・ジェリコー。フランス革命、そしてナポレオン帝政からは決定的に遅れてやってきてしまった、絵画の革命児。32歳でその命をあだに散らした早逝の天才、未完の大器。今際の際の悲痛な最期の言葉まで、この偉大なる才能の生涯を一巻に描き切った傑作です。巻頭のカラーページがすばらしくて、中原たか穂先生の次なる作品を心待ちにしています。」