「ゾンビと言えば、猫だのサメだのビーバーだの人間以外を暴走させたり、津波に乗って大量に出現させたり、日々新しいアイディアで捻り散らかされている王道ジャンル。真面目に人間を主人公に据えると、どうしてもドンパチアクションか、親しい誰かとの悲しい別れの話になってしまうところ、今作のゾンビの権利を巡る裁判モノという着眼点は目から鱗でした。映画にしても上質な法廷サスペンスになりそう。」
「年初に出た一巻完結の作品で、前回の投票直後におすすめされて読んでこれ票入れたかったー!!と叫びましたが、今回投票にあたり改めて読んで、これが埋もれてしまうのはもったいない!との思いで挙げさせてもらいます。死後30日以内に復活する謎の病により生前とあまり変わらない姿で『生き返る』者をゾンビと呼び、生きているのか死んでいるのかの定義さえつけられないでいる世界。そこで起こるあるゾンビの莫大な遺産相続を巡る弁護士の物語なのですが、まずはストーリー運びがお見事。物足りなさも感じず、かといって詰め込みすぎてるわけでもなく、こんなにきれいに一冊でまとまる??作品世界の作り込みもアラが無くて、ファンタジーな設定に頼りすぎず、法律制度などリアルな部分はしっかり整えているので物語がブレません。作者の他の作品は調べても出てこないので少なくとも初商業作品かと思いますが、ほんと?ぐいぐい引き込まれ一気に読んでシンプルにおもしろい!と思わず言ってしまいます。これまで読んだ一冊完結のマンガでは、個人的に1・2を争う名作です。マンガライト層にも、重度のマンガ読みにも自信を持っておすすめできます。読んで損はさせません!!」
「1冊で綺麗に完結する本に出会うと感動するのですが、この作品もそのひとつ。人間と"ゾンビ"の差別、定義、それに絡んだ思惑などが重なり合い絡み合い、解かれていくまでをうまくまとめ、いいラストを見せてくれます。1冊完結だけに今年しか推せないので、読み逃した人に届くといいな。」