「戦車兵、衛生兵、食事係など、ソ連の対独戦に従軍した女性たちの物語。雪と泥、血が入り混じった地面を、年端もいかぬ女の子が傷病兵のために這いずり回った結果、1日が終わるとそのズボンは固まって自立するほどだったというエピソードのように、断片的ながら強烈なリアリティをもっている。現代の日常モノのような優しい作画と相まって、戦場の女性たちの日常として(しかし現代の我々からすればとんでもないもの)、切り取ることに成功している。」
「ノーベル文学賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチによる、戦争の悲惨さ・それが日常となるむごさを、独ソ戦へ従軍した女性への丹念な取材から描き上げた同名の書籍のマンガ化です。昨年の、ソ連の後継であるロシアによるウクライナ侵攻という驚天動地に、真っ先にこのマンガが浮かびました。進軍中に生理の血が固まって肌を傷つけるとか、井戸に放り込まれる子どもの子供の叫び声とか、勇ましい戦記物にはありえない生々しい描写は、その悲惨さを知っているはずなのに戦争を繰り返す人類の愚かさに強く警鐘を鳴らします。とにかく多くの方に読んでいただきたい作品です。」