「微妙に周りのいわゆる『普通』から少しだけ浮いてる感じの、下手したら呼吸しにくい感覚を、別にそれでもいいんじゃない?と押すでもなく手を引いてくれるわけでもなく、ただそこで肯定してくれるような優しさを感じる作品。疲れたなぁって夜になんとなく読み返したくなるようなじんわりとしたあたたかさ!」
「美形で、毎日のように女の子から告白されて困っている高校生の熱海くんが主人公です。好きになるのは男の人で、惚れっぽい。そんな熱海くんが、足立さん(男)という先輩と出会い、学校生活に変化が訪れます。一つ一つの恋を乗り越えていく過程で、少しずつ成長していく熱海くん。熱海くんの中で起こる、感情の動き。それは決して大きくはないけれど、わずかな変化を自分の中で咀嚼していく熱海くんの姿が丁寧に描かれています。読んでいると、陰から応援したくなるような、見守りたくなるような、そんな気持ちになります。」
「形にならなくてもそれは嘘じゃなくて全部本物で、そうじゃなきゃいけないなんて事はなく矛盾もせずに在り続ける。人間YESかNOか、どこかで割り切らないと正気でいられないけど、その間に無数の曖昧な答えがあるというのもまた真理だなと考えさせられたり。思春期にしか持て余せない時間、その眩しさやいじらしさが熱海くんの周囲からゆるやかに感じられてとても良い。」