「絵が可愛らしいのでさらっと読めたのですが、結構ドロドロとしたサスペンスでした。導入が童話的ですっかり小川未明を思わせるだけに、途中から江戸川乱歩的な展開になっていくことに驚きつつ、江戸川乱歩が好きなので、ああ、うん、これはあれか! と、乱歩の各作品を思い出して唸りながら読みました。過ぎた純粋さは、ときに狂気のようにも思えます。亞一が十次に出会えてよかったと、心から思います。面白かったです。」
「軽快に進む物語の奇妙さや不穏さと掛け合わさった、独特の美しさを持つ大正レトロの舞台に、みるみる引き込まれて読み進めてしまった。全体的には柔らかく明るい雰囲気なのに、しっかりミステリーでゾクっともさせられる。リアリティある時代描写ながら、織り交ぜられるファンタジーな表現も独特の味わい。装丁を含めて紙本で楽しんでほしい、満足度の高い短編。」