選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2024一次選考作品

『中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!!』吉田貴司

  • 「快作『やれたかも委員会』で、恋愛における男女間の深い溝と途方もない勘違い、あっけにとられる戦略ミスの数々を再現動画のような体裁でトリッキーに描いた作者による新作。『カワイイは勝利』を合い言葉に美容のレベルアップに日々邁進する『コスメ部』なる架空の部活を舞台に、男女交際のレベルアップを至上命題として『戦う』女子部員たちを活写する。ナンセンスなパロディーというなかれ。昨今のコンプラ時代においてこれはとんでもなく挑戦的な設定だ。『ただのマンガだよ~ん』とうるさ方を煙に巻いておいて、マンガ以外では絶対に不可能なワザを惜しげなく繰り出しながら現代ニッポン社会を縦横無尽に斬りまくる。ほんとうに深い。当初は単話完結的だったが、第3集に入ってラスボス的な特級イケメン(ルックスに加え諸事ハイスペック)の登場に至り、倒すか倒されるかのスポーツマンガ、バトルマンガの体裁を借りて多弁なプロレス中継アナウンサーのようにテンション上げ上げに。男どもの知らない『カワイイ』の戦いに臨む女性たちの壮絶な努力と挫折感、達成感をいやみのないエンターテインメントに仕立てる知的な作劇から目が離せない。」

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