「1982年生まれの美大卒の著者が新卒後2年半編プロで勤めたあとに転々としたバイト生活の『観察と編集』(という発行元なのである)。目次をそのままあげれば、リペアスタッフ、学習塾講師、測量会社従業員、頭部モデル、イラストレーター、梅調査員、工場作業員、宅配便受付、お掃除、水道検針員、引越梱包、工場DTP、中国人予備校DTP、青果部というアルバイトの観察記録である。82年というと氷河期世代後期か、わたしが2000年に大学を卒業した氷河期ど真ん中なので、アルバイトを転々としたような20代というのは勝手にシンパシーを感じたりするわけです。エッセイ漫画と言ってしまっていいのかちょっと戸惑われる、絵日記、絵物語みたいな(言葉変えただけですね)、ふしぎな空気感。観察対象は社会であり、自分であるのですが、自分探しというには、その観察眼の被写界深度が浅いわけではなくて、この著者をこれからもよく観察したいという気持ちにすごくなりました。」