選考作品へのおすすめコメント
マンガ大賞2025一次選考作品

『オレが私になるまで』佐藤はつき

  • 「前巻から随分と待った。この間で、以前以上に多様性やジェンダーへの解釈がグンと進んだ(という表現が正しいのかはわからないが)ことから、読み手に与えるインパクトの種類も変わってきているように感じる。すばらしい作品。」

    「このマンガをまた推すことができてよかった。4巻発売は2021年12月、最新5巻が24年6月......。2年半の長きを黙って待っていたファンは少なくないはず。連載そのものは電子書籍で追えるにしても、紙の本にまとまるのは感慨しきり。男子小学生がある理由で女子になってしまい、元の性に戻れないまま中学生に。よくある設定のようだが、このマンガのよいところは、10代前半の不安定な気持ちや、主に友人、時に異性(つまりクラスメートの男子)との関係で抱えがちな不安と、それを乗り越える勇気、そしてその先にある成長を繊細に丁寧に描こうとしている点だ。その意味でとてもまじめなマンガなのだと思う。主人公アキラは造形がかわいいだけでなく、思慮深いというか、おとなしく内省的な性格であるところが物語に深みを感じさせるゆえん。」

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