「 掲載誌は青年誌のカテゴリかもしれないけれども、今、イチオシの少年漫画!
地球を守る戦いに巻き込まれた運命の騎士たちの物語。そんなファンタジーにも関わらず、日常も非情も希望も絶望も現実的に描かれていく、それでいて気持ちのいいお話です。」
「この作品に限らず水上先生の漫画には心を打たれたり、台詞にも目からウロコになったり、「必殺技や戦う前の口上は声を上げる」な心意気に燃えまくりです!!丁寧に一人一人の人物描写をされているので、わかっちゃいたけどなキャラクターの死の場面に涙が止まらないんです。ネガティブな思考やどん詰まりな状況の袋小路に陥った時、爽快にぶち壊すキャラクター達の閃きや決意や台詞にシビれる、憧れるぅぅっっ!!」
「巻を重ねるごとに高まっていく緊張感と疾走感は秀逸!さらに、掲載誌など一見するとファンタジーもの?SFもの?という感じですがそうでなく。『人生』を不器用に描いているんです。特に7巻以降の展開は鳥肌もの!主人公・夕日の成長が、彼ひとりのものでなく、彼ひとりのためでなく、彼ひとりのおかげでなく。そういう根源的なつながりというか、人として忘れてはいけないかたちに表せないものを描いていると思います。今、舞台は最終局面。破滅的な終末を迎えるのか...それとも大団円なのか...最後まで彼らの『人生』に付き合っていこうと思いたくなる作品です。」
「この作者は『さみだれ』が初の長期連載でそれまではデビュー作の『散人左道』全2巻が最長です。それが功を奏してと言えば良いのか読切作品の密度を持って『さみだれ』や『戦国妖狐』の連載が続いています。締切に追われる連載という周期の中でこの密度の濃さは只事ではありません。登場人物の名前・劇中に出てくるマンガやテレビドラマ・初見では素通りしてしまうほどの些細な言動の全てが伏線と言っても過言ではありません。1巻から読み返してみるとなんと発見の多いことか。構成力の高さに脱帽です。
水上作品は穿った見方をすると説教くさいと受け取られかねない。しかしそんな説教くささを持っているのに読後の感想は爽やかです。それは大人たちは子供たちの見本・目標となり、子供たちはそのまた子供たちの見本・目標となるという至極真っ当なテーマを回りくどくなく直球で語っているからです。
『さみだれ』において主人公は最初いかにも厨二的なひねくれた性格をしていましたが、敵との闘いにおける大人たちとの交流の中で精神的に成長し続けて年少者たちへの影響を考えた立ち居振る舞いをし始めます。まぁひねくれているのは相変わらずですが。そして主人公に影響を与えた大人、これがカッコいいんです!特筆すべきは『さみだれ』におけるヒーロー的存在です。彼は物語序盤で退場してしまいます。しかし主人公に対しての影響力は終盤に入った現在も薄れることはありません。彼の言うヒーローとは自分を肯定し続け、それを確定し続けること。100回に1回打てるようなラッキーパンチを1000回続けて打てると信じ、実際1000回打てる者のこと。それができたらまさしく「ヒーロー」です。流石に主人公はその域にまでは達しませんが、確定し続けは出来ませんが、自分を肯定し続けます。そして限りなく確定し続けるための能力を開発します。年少者のピンチに駆けつけた時に主人公は言います「ヒーロー見参!」これは主人公に「彼」の遺したものが明らかに伝わっているという証明だと思います。
ぜひ読んでみてください。めちゃくちゃ面白く、燃え、泣けるマンガを描く作家です!」